研究課題/領域番号 |
20H04234
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研究機関 | 愛知工科大学 |
研究代表者 |
田川 和義 愛知工科大学, 工学部, 教授(移行) (40401319)
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研究分担者 |
広田 光一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80273332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 指 / モデリング / 変形シミュレーション / 触覚 |
研究実績の概要 |
【柔軟指の計測とモデリング】の研究項目においては,実験用MRIを用いて被験者2名の手指のボリュームデータを取得した.MRIのメーカ(シーメンス)の技術者にも協力を仰ぎ,最適な撮像シーケンスを設定,計測を行った.計測中に手指が動くとブレが含まれてしまうため,固定用の治具(非磁性体)を作成し,手指に取り付けて計測した.手指のボリュームデータを取得後,セグメンテーション等の処理を行い,手指の解剖構造をモデル化した.指紋については,MRIの解像度での取得は難しいことから,手作業でモデル化を行った. その後,実指の腹側にマーカを着色(マジックインキを使用)し,凹凸物体(透明アクリル板)を触れた状態で,爪側から一定の押下力を与えながら,凹凸物体を接線方向に移動させ,その際の実指の動的な挙動を透明板の裏から高速度カメラで撮影する実験を行った.凹凸物体越しで撮影を行うため,アクリル板の屈折率に起因する像の歪みが問題となるが,光線追跡による補正処理を行うことで解決を試みた.その結果,補正処理が可能な凹凸形状には制限があるものの,一定精度で補正処理が可能であることがわかった. 【仮想柔軟指の実時間変形・接触シミュレーション】の研究項目においては,示指の側面側から見た際の中央断面の変形・接触シミュレータを構築した.幾何学的非線形性を考慮するために,共回転系有限要素法を用いた.接触については,各ノードに非接触/固着/滑りの3つの状態を設け,有限要素法で計算された垂直抗力と接線力の大きさにより状態遷移させた.これにより,stick-slip現象を再現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【柔軟指の計測とモデリング】は,計測およびモデリングについては着実に進めている.パラメータ同定については同定の際の試験法の検討・考案は行ったが,パラメータを同定するまでは至らなかった.【仮想柔軟指の実時間変形・接触シミュレーション】については,示指の変形・接触シミュレータを構築した.初年度ではあるが,研究会や国際会議での発表も行うなど,全体的に順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの研究項目に修士(もしくは院進希望)の学生と技術補佐員を割り当て,手法の考案・実装・評価の加速化を図る.
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