今年度は,ExtickTouchの性能向上のため,モータの出力を大きくし,かつデバイスの重量を小さくする,PID制御を導入しデバイスの伸縮制御を安定させる取組みを行なった. 改良後のデバイスを用いて仮想物体に線を描く際の力覚提示による効果を分析するために2つの実験を行った.実験1では視覚情報に力覚情報を加えることで書きやすさに影響を与えるのかについての実験を行い,実験2ではスケッチングを行う状況によって,力覚提示の効果がどう変化するのかを分析した.実験では3つの仮説「力覚を提示することで,ユーザは思い通りに線を書ける.」「力覚を提示することで,ユーザの腕の疲れを軽減することができる.」「力覚を提示することで,線を書く動作をより自然に行うことができるため,作業時間が短くなる.」を設定し,これをスケッチング時の誤差,SUS,NASA-TLX,作業時間から評価した.実験の結果,力覚提示によって思い通りに線が書け,作業負荷が軽減されることが分かった.また,作業時間は長くなることが分かった. 実験2では,実験1で示唆された力覚提示による効果がスケッチング時の状況に応じて変化する可能性について分析を行った.スケッチングを行う形状とキャンバスの角度と誤差の関係について実験を行い,その結果スケッチングを行う形状は曲線より直線のほうが誤差が小さくなること,キャンバス角度の大きい状況において微小ではあるものの誤差が大きくなっていることを確認した.以上より,複雑な形状を扱う作業や細かな操作を必要とする作業,長時間の作業においてExtickTouchが有用であると考えられる さらに,ExtickTouchによる仮想物体の硬軟感表現の拡張を行なった.具体的には,ユーザがExtickTouchに掛ける圧力に応じて,圧力が大きくなるほどデバイスが縮む距離が大きくなるように伸縮制御を行う仕組みを導入した.
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