研究課題/領域番号 |
20H04244
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鹿島 久嗣 京都大学, 情報学研究科, 教授 (80545583)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 機械学習 / 人工知能 / 因果推論 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、機械学習の適用可能性を広げることを目的として、グラフ構造などの複雑な構造を有するデータを対象とした深層学習法の高性能化を目指し、従来のモデルより効率的なモデルの開発の特定を行った。まず、近年著しく性能を伸ばしているグラフニューラルネットワークについて、その計算を理論的に定数時間で実現できる手法を開発した。この研究は、従来多くの計算資源を必要とする深層学習の効率化に大きく貢献するものである。 また、意思決定により直接的に寄与する因果効果、とりわけ個別のデータに対する因果効果の推定手法を、現実世界のより複雑な意思決定問題に対応できるようにするための研究を行う。とくに、薬剤などのグラフ構造として表現できる情報をもつ複雑な介入の効果推定を高精度で行うことのできる深層学習手法を開発した。これによって、従来は比較的少数の種類の介入のみに限定されてきた介入効果推定の適用範囲を大きく広げることが期待できる。 また、機械学習の実応用検討については、麻酔医の判断を機械学習によって予測することによる麻酔自動化を目指した検討や、介入効果推定を用いた、論文の適切な投稿先推薦システムの検討など、実データを用いた検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラフ構造を扱う深層学習法の研究に大きな進展が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、機械学習の適用可能性を広げることを目的として、理論と応用の両面からの検討を行っていく。とくに、より複雑で現実的な設定における介入効果推定手法には、未観測変数の許容や、実応用への展開など、多くの課題が残されている。研究期間の後半へ向けて、これまでの研究の統合についても検討していく。
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