研究課題/領域番号 |
20H04248
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
波多野 大督 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員 (10709728)
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研究分担者 |
前原 貴憲 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, ユニットリーダー (20751407) [辞退]
原 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40780721)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 協力ゲーム理論 / 回帰問題 / 費用配分問題 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,3つの課題(研究課題1:個々の利用者の特徴量に応じた価格設定,研究課題2:需要予測に基づく適応的価格設定,研究課題3:価格設定の妥当性の説明)のうち,研究課題1に関する研究として、組合せ特徴量に依存した価格推定問題の定式化とそのアルゴリズムの構築に着手した.具体的には,以下の3点について着手した. (1) タクシーシェアやオフィスシェアなどの共有型サービスの価格推定問題は,各利用者の利用状況のみならず誰と共有するかによりその価値が異なることから,利用者のタイプの組合せや人数,利用時間が価格設定に影響を与えると考えるのが自然である.そこで,この問題を協力ゲームと価格推定を組合せた問題として定式化を試みた.問題となるのが,協力ゲームは一般的に{0,1}の離散空間を扱うが,上記の問題では利用時間を考慮する必要があるため,非負実数値空間に拡張する必要があることが判明した. (2) 価格推定に際し,最も古典的な手法の一つが線形回帰であるが,(1)で考える問題設定では,特徴量の組合せによる相乗効果を考慮する必要があるため,線形回帰を適用することは難しい.そこで,他のアルゴリズムの候補として,組合せ特徴量を考慮したモデルを扱うfactorization machine,集合関数を実数値空間に拡張するロバース拡張やショケ積分などを利用したアルゴリズムを考えており,そのための情報収集を重点的に行なった. (3) 共有型サービスの価格設定方法として,協力ゲームの解概念の一つであるシャプレイ値を利用する.また,実問題では因果構造などの階層構造により価格決まることから,階層構造を考慮した協力ゲームのシャプレイ値を効率的に計算するアルゴリズムを構築した.その方法として,階層構造を表現できるデータ構造の一つであるアンチマトロイドを用いたモデル化を考えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)と(2)については問題の定式化ならびにアルゴリズムの構築には至っていない.その原因の一つが協力ゲームが{0,1}の空間を扱うのに対して,実データは連続空間であるためである.一方で協力ゲームを連続空間で扱う手法等のが十分な情報収集ができたため,定式化ならびにアルゴリズムの構築を進めている.また,(3)については,人工知能学会全国大会にて発表済みであり,現在,国際会議にて発表を行うべく準備を進めている状態である.
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今後の研究の推進方策 |
収集した情報をもとにアルゴリズムの構築ならびに実験を行う予定である. まず,上記で挙げた手法の候補から一つ選択しアルゴリズムの構築ならびに実験評価を行う.その後,他の手法を利用したアルゴリズムの構築を行う予定である.一方で,どの手法も実験評価が良くない場合を想定して他の手法についても並行して情報収集する予定である.
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