脳の情報処理をリザバー計算の枠組みで考察する研究が盛んであるが,脳そのものを物理リザバー計算に用いた研究はほとんどない.本研究の学術的独自性は,脳にリザバー計算が実装されているという仮説を検証する構成論的な試みにある.本研究の学術的創造性は,リザバー計算という概念により,人工ニューラルネットワークを用いたモデル研究と,実際の脳の生理学的研究とを結びつける学際性にある.このような学際性は,古くはパーセプトロンと小脳の学習機構 (1980年代),コネクショニズムと海馬・新皮質からなる学習機構 (1990年代),そして最近では深層学習と脳の階層的表現などのように,革新的な研究の原動力となってきた.
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