研究課題
私たちは、脳や神経データを体系的に取得するwet系の実験と、ネットワーク科学や人工知能の技術を活用したdry系の解析を両面として進める、新たな研究の展開を試みてまいりました。以下に成果をリストします。(1) 一つの脳皮質領域の神経細胞ネットワークに対してネットワークサイエンス解析を行い、抑制細胞がネットワークのハブ的位置づけにあることを明らかとしました。この知見は、神経科学に極めて原理的なものですが、広く評価されたことはありませんでした。(2) 上と同じデータを用いて、オートエンコーダという人工ニューラルネットワークの一種を適用して、トポロジー的特徴を自動的に抽出・解釈する技術を開発し、人では直感的に分からないデータの傾向を明らかとしました。具体的には、複数のトポロジーのブレンドが、その非一様性を効果的に説明することを明らかとしました。(3) 1の方法の実験の適用域を拡張し、12個の脳領域のトポロジーを幅広く比較しました。その結果、前頭部が他領域と比べて、極めて特殊な内部での接続構造を有していることを明らかとしました。(4) 時系列を取り扱うことのできる深層神経ネットワークの一種を、複数領域のデータに適用し、神経活動のスパイクデータを生成することに成功しました。この研究により、異なる脳領域間でも神経活動の相互生成が可能であることが判明しました。(5) 3の分析を、精神疾患モデルマウスの前頭部のデータに適用し、健常群と疾患群の差異を明らかとしました。
1: 当初の計画以上に進展している
当初計画していた領域間の比較は完了し、そのデータに対して、計画当初には用意していなかったデータ生成の手法を適用する事で、未踏の展開が進んだため。
極めて重要な展開を用意しているが、公開はできない段階である。5の成果に関して、今後まとめてゆく必要がある。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)
bioRxiv
巻: 1 ページ: 1-17
10.1101/2023.03.05.531237
巻: 1 ページ: 1-20
10.1101/2022.10.05.510240
PLOS Computational Biology
巻: 17 ページ: 1008846~1008846
10.1371/journal.pcbi.1008846
巻: 1 ページ: 1-22
10.1101/2021.10.19.464982