本研究では,以下の3項目を達成することで,これまでにない患者ごとに最適かつ帰結予測可能な介入法を提供するベイズモデルベースト・リハビリを確立することを目的とする: 1. 階層的ベイズモデルを用いて,歩行中の全身ダイナミクスデータから個別性をモデル化し,力学構造を抽出することで脳卒中患者ごとの歩行 を「分類」する(2020年度). 2. 分類モデルを実装した歩行診断システムを具現化し,患者の歩行をリアルタイムに「診断」する脳卒中患者歩行診断システムを構築する(2021年度). 3. ベイズモデルから患者ごとの歩行の経時的変化を「予測」する.予測結果から最適な介入法を策定し,効果予測可能なベイズモデルベース ト・リハビリを実践する(2022年度).
3「予測」効果予測による最適な介入選定と効果の実証 (2022年度) リハビリ現場での実用を想定し,時間や手間を要さない歩行測定システムを開発するため,深度センサを搭載したiPadを用いた歩行測定システムの開発を行った.3次元動作解析解析装置を用いて,開発した歩行測定システムで測定された歩行データの信頼性の検証を行った.さらに,患者ごとの歩行の経時的変化を「予測」する診断モデルを構築するために,歩行中の3次元床反力に着目し,Kinectセンサから得られる位置情報のみから,歩行中の床反力を推定するニューラルネットワークモデルを開発した.16名の健常者および7名の片麻痺患者の歩行データを用い,床反力の推定精度を検証し,特に,垂直方向の床反力について10%程度の誤差での推定が可能であることを示した.
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