研究課題
従来の看護教育では、「看護師の安全性」はボディメカニクスに基づいて評価されてきた。一方、車椅子移乗のような患者にとってリスクの高い看護動作については、実際の患者を教育現場で扱うことが困難なため、「患者の安全性」を評価する有効な方法がない。本研究ではこれらの看護教育における現状の問題点を解決するために、患者の安全性という観点から看護動作を評価する患者ロボットシステムを構築する。構築に当たっては、看護動作の中でも特に高頻度に行われ、患者の怪我の主要な要因となっている、車椅子移乗動作を対象とした。車椅子移乗動作とは、患者をベッドから車椅子へ移動させるために看護師が行う一連の動作のことである。車椅子移乗において患者は座位から立位、立位から座位へと姿勢を大きく変化させるため、転倒や転落などの事故やそれによる怪我が生じやすくなっている。これらの問題を解決するために、本研究では以下の2つの研究課題に取り組んだ: 1)患者の安全性の観点から車いす移乗における重要な局面を特定すること、2)車いす移乗における患者の安全性を評価できる教育用ロボットを開発することである。リスク評価の結果、座位から立位への動作が重要であることがわかった。さらに、車椅子移乗動作を計測し、人が他者に支えられながら立ち上がる動作をモデル化し,患者ロボットに実装した.具体的には,まず、患者の立ち上がりを準静的な過程とし、力の釣り合いから地面反力データを用いて看護師が患者に対して加える力やトルクを算出した。その後、これらの看護師から患者へ加えられる力と患者の下肢の動きの関係性に対して、アドミッタンス制御を適用した。実際の人体動作解析に基づいて開発した患者ロボットシステムは、人間らしい座位から立位への動作が可能であり、看護師からロボット本体に加わる不適切な力を評価することができることがわかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Frontiers in Computational Neuroscience
巻: 17 ページ: 12180707:1-13
10.3389/fncom.2023.1218707
IEEE Robotics and Automation Letters
巻: 8 ページ: 5504~5511
10.1109/LRA.2023.3296930
https://otalab.race.t.u-tokyo.ac.jp/