研究課題/領域番号 |
20H04262
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山崎 公俊 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (00521254)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不定形物操作 / 状態予測 / 状態推定 |
研究実績の概要 |
不定形物に操作を加えたとき,その見た目や形状がどう変化するかを予測できる予測器を構築した.操作の具体例として布生地の折り畳みを選び,精度・速度ともにオンライン性を満たす程度に不定形物の変化を予測可能であることを明らかにした.また,不定形物に様々な操作を能動的に加えることを通して,「操作」と「不定形物の変化」の関係性を見出すことができる手段を構築した.それに基づき,適切な操作を自動で生成可能にした.具体的には,これまでに提案してきたEMD netの改良手法としてpEM*D netを提案し,それと親和性の高い予測手法として,LSTMと畳み込みオートエンコーダを組み合わせた手法を提案した.それによって,布の形状変化の予測を数ミリ秒のオーダーで,推定を数百ミリ秒のオーダーで実現可能であることを確認し,さらに実ロボットによって布生地の操作を実現した.また,複数回の操作を要する不定形物作業を人間がおこない,それを観察した結果から,ある操作と次の操作の区切りを見つけるためのモデルを出力する手段を構築した.そして,強化学習によりそのモデルを改変することで,別の不定形物作業についての適切な操作列を出力できるようにした.これを実ロボットでの作業に活かすための準備を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おもな研究項目として,A) 不定形物の状態変化の予測,B) 不定形物の操作能力の獲得,C) 操作手順の理解および創造能力の獲得 があり,それぞれ順調に進展した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築した手法を改良しながら,別の作業への適用性能を評価する. 研究項目A) 不定形物の状態変化の予測については,メッシュ表現の利点を活かす方策として,不定形物の隠れ部分の形状を確率的に予測する理論を構築する.同時に,変分法による学習手段を導入して効果を確かめる. 研究項目B) 不定形物の操作能力の獲得については,過去の操作経験を参考にすることで予測の不確実性を抑える仕組みを導入し,少ない探索回数で妥当性の高い操作を見つける方式を確立する. 研究項目C) 操作手順を理解および創造する能力の獲得については,作業を複数の操作へ分割する分割器を実装する.複数種類の不定形物作業を訓練データとした学習をおこない,事前知識としての妥当性および有用性を確かめる.また,操作能力の獲得でもガウス過程回帰を用いていることを利用して,分割位置と操作獲得の両モデルを同時に更新するアルゴリズムを考案する.これにより,事前知識を初期値として適切な作業遂行能力を獲得できることを確かめる.
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