不定形物の状態変化の予測に関する手法を新たに提案し,シミュレーションにより効果を確認した.昨年度までは状態として主に形状を対象としていたが,これを物理特性(曲げ剛性や伸縮性)へ拡張し,操作をしながらこれらの物理パラメータを推定する手法を構築した.関連して,不定形物の操作能力の獲得についても新たな試みをおこなった.操作中の布の形状に加えて,物理特性の推定情報も併せて,布生地をより正確に折りたたむための軌道生成をおこなうアルゴリズムを構築した.また,布生地の動きをオプティカルフローとして観測し,その結果から布操作の状況を推定する手法を実装し,定量評価をした.また,布の適切な部位を把持させることを視野に入れ,ビジュアルサーボにおける手先の動作生成手法を提案し,仮想空間で学習した結果を実世界でも適用するための方式について有効性を示した.また,操作手順を理解および想像する能力に獲得に関して,ひも状柔軟物の操作軌道生成を題材として手法の検証をおこなった.本研究の成果を検証するタスクとして,衣服を操作する作業における適応的な動作生成,硬さのあるケーブルを操作する作業における把持部の軌道生成,手順のある布生地の展開などのタスクを設定し,研究成果を利用することで作業が達成できることを確認した.
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