研究課題/領域番号 |
20H04266
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
橋本 秀紀 中央大学, 理工学部, 教授 (30183908)
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研究分担者 |
田村 裕 中央大学, 理工学部, 教授 (60227288)
長津 裕己 中央大学, 理工学部, 助教 (60804987)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 空間知能化 / 眠気推定 / 機械学習 / 生体情報 / 状態推定 / Wifi |
研究実績の概要 |
昨年に引き続き、空間知能化の必要要素である眠気推定のための状態量に関して、車内環境下で無意識下かつ非拘束でのセンシング技術の研究開発と得られたデータの解析を行った。状態量の取得では、体動の影響を抑えるためのノイズ除去が中心課題となり、以下に述べるようにセンサ毎に有効な手法の確立を行った。また、データとして得られた状態量を用いて眠気推定を行った。昨年着手したシステムの改良を行い、様々な条件で実験ができ、データを取得する眠気推定の実験システムが完成した。また、WiFiを用いた生体信号の取得に関する検討も始めた。 (1)空間知能化による眠気推定のための状態量の取得: 容量結合型電極を用いたシステムでは、非拘束ではあるが体動の影響を最小限にするためのフィルターの再設計を中心として、電極の最適な形状および配置位置を求め、それらをモデルとしてシミュレーションを行い更なる最適化を行い実験で検証するシステムの構築を行った。赤外カメラ(RGBカメラ)を用いたシステムでは、暗い状況でも顔表情を得ることができることを示した。また、顔が動くといった体動の影響を除去するために、顔の向きを推定するアルゴリズムを開発し体動の低減を実現した。このシステムは家屋での就寝時でも使えることを示した。 (2)眠気推定の方法論の検討: 容量結合型電極では、3枚程度の通常の服装で体動除去を考慮した回路構成でロバストに心拍変動(RRI)を取得できた。RRIのプロファイルと眠気段階(主観評価)を結び付け眠気推定を行う機械学習システムを開発した。RGBカメラでは、得られた顔表情(あくび、瞬きなど)と他のセンサから得られたRRIと組み合わせて、眠気推定を行った。 (3)Wifiを用いた生体信号の取得: 広く用いられているWifi信号のチャネル状態の伝搬特性を用いて心拍数を計測するシステムの基礎的検討を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システムの構築は順調に進んでおり、運転環境を模擬したシミュレータでの実験も開始しデータを得る段階に至っている。また、今後期待されているWifiを用いた生体信号取得の基礎的な段階を始めており、今後の展開を期待できる段階である。ハードウェアおよびデータ取得観点からは予定以上の成果が得られている。しかしながら、眠気推定の観点からは、リファレンスとなる眠気自体の定義自体にいくつかの提案がありその選択に時間がかかっている状況である。これらを総合して「(2)おおむね順調に進展している。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)空間知能化による眠気推定のための状態量の取得: 体動の除去は電極・カメラ・Wifiに共通した課題であり、人の動きのモデル化まで考慮した手法の開発が必要と考えられる。同時に機械学習といったデータベースの手法での体動除去の検討も行う。 (2)眠気推定の方法論の検討: 主成分分析、非線形特徴抽出であるカーネル主成分分析、Autoencoder、不均衡データを考慮した深層学習などのさらなる検討を続けるとともに、眠気評価のためにDeepSleep Netなどのデータベースを活用することも進める。主観評価と客観評価の位置づけを明確に行うことも検討事項に含める。 (3)Wifiを用いた生体信号の取得: WiFiを用いて計測した心拍から血中酸素濃度(SPO2)を推定する研究も開始する。 (4)空間知能化システムとしての統合: 電極・カメラ・Wifiを統合した観測システムとしての空間知能化を実現する。
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