研究課題/領域番号 |
20H04267
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
橋本 健二 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (10449340)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒューマノイド / 人型ロボット / 脚型ロボット |
研究実績の概要 |
本研究では,ヒトの運動制御系をモデル化し,人体運動を模擬可能な人型ロボットの開発を通して,ヒトのバランス制御と空中感覚を理解することを目的とする.令和3年度は,以下の3点について研究を推進した. (1) 跳躍運動が可能な単脚ロボットの設計・製作:令和2年度に単脚ロボットのプロトタイプ機を製作したが,令和3年度は跳躍高さの向上を目的とし,関節の高出力化を図った単脚ロボットを開発した.改良機には路面高さを検出可能な路面検出センサ(ToFセンサ)を新たに搭載した.機体の脚長は300mmであるが,その半分以上の高さ170mmの段差を跳躍中に出し入れした場合でも路面検出センサ情報を利用することで連続した跳躍運動を実現することができた. (2) 強化学習による2足歩行運動獲得:強化学習を利用して歩行運動を獲得する研究に取り組んだ.2足ロボットのモデルは,片脚に3自由度(股関節Pitch軸,膝関節Pitch軸,足関節Pitch軸)持ち,両脚で全6自由度持つものとした.サンプリング周期ごとにフィードバックされる状態の観測値に基づく通常報酬に加えて,足の接地状態と位置に着目した歩行報酬を導入したことにより,矢状面内で2足歩行運動を獲得できた. (3) 上肢を利用した2足歩行ロボットの転倒回避制御:長期的には,歩行運動時に2足ロボットに外乱が加わった際の転倒回避,歩行継続などを包括的に扱える制御系の開発を目指し,令和3年度は上肢の着地位置決定に可捕性解析(Capturability,2012 Koolenら)を用いた矢状面における転倒回避手法を考案した.動力学シミュレーションを通して,印加された外乱に対してロボットが上肢を適切な位置に接地させることで転倒を回避できることを確認した.ただし,過大な外乱については上肢の接地点周りにロボットが回転してしまうため,角運動量の考慮や捕点の計算法の改善が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,機械学習を利用した歩行運動生成や,モデルに基づく運動制御系の開発,ダイナミックな運動が可能なハードウェアの設計・製作ができており,順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,転倒回避や歩行継続などを包括的に扱える運動制御系の構築を目指して研究を継続する.ヒトの歩行解析から得られた知見にもとづき報酬を設定した深層強化学習による歩行運動生成に関する研究にも取り組む.また,最終年度に多脚ロボットにてダイナミックな運動を実現することを目指し,引き続き脚型ロボット実機の改良・開発に取り組む.
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