研究課題/領域番号 |
20H04273
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
南 哲人 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70415842)
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研究分担者 |
田村 秀希 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40908612)
中古賀 理 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40909173)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 実験系心理学 / 認知科学 / 脳波 / 瞳孔 / 主観的知覚 |
研究実績の概要 |
本研究では、瞳孔径を中心とした眼球運動計測データから認知状態を推定することを目的として研究を行っている。本年度は、これまで行ってきた錯視による主観的な明るさの視覚野依存性について調べた。 視覚野(VF)の異方性については、注意の空間分解能、空間周波数、意味処理など様々な観点から研究が行われてきた。また、明るさ知覚もVF間で異なることが報告されているが、瞳孔計を用いた明るさ知覚におけるVF異方性の影響については十分な検討がなされていない。本研究では、収束する輝度勾配によって明るさが強調され、刺激中央の白い部分が光って見えるグレア錯視と、同じ物理的明るさで発散する輝度パターンを持つハロー刺激を用いて、被験者の瞳孔サイズを測定した。その結果、上方視覚野(UVF)では他のVFと比較して、刺激誘発瞳孔拡張が大きく、ハロー刺激ではまぶしさに関連した拡張瞳孔減少が顕著であった。刺激誘発瞳孔拡張はコントラスト感度の低さに影響を受けるが、UVFではグレア錯視の自然な情景処理における統計的規則性によって形成される認知バイアスのために、ハロー刺激や他のVFからの反応と比べて瞳孔拡張が減少することが明らかになった。これらの知見は、日常視覚で経験されるグレア効果によって誘発される視野異方性の潜在的なグレア効果を軽減する方法について、重要な示唆を与えるものである。さらに、瞳孔計測とグレア錯視の証拠を用いてVF異方性に関する新たな知見を提供した点で、本研究は関連分野の発展に大きく寄与すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重要な知見の獲得:収集されたデータから、UVFでは他の視覚野と比較して、刺激誘発瞳孔拡張が大きく、ハロー刺激ではまぶしさに関連した拡張瞳孔が顕著に減少するという重要な知見が得られた。この成果は投稿論文として出版された。 実用的意義の確認:これらの研究成果は、日常視覚で経験されるグレア効果の視野異方性を軽減する方法の開発に重要な示唆を与えている。 関連分野への貢献:瞳孔計測とグレア錯視の証拠を用いて、視覚野の異方性に関する新たな知見を提供したことで、関連分野の発展に寄与している。これらの成果が学術的に認知され、引用されることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、視野における主観的な明るさの知覚について、ヴァーチャルリアリティ環境において実験を行う。
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