研究課題/領域番号 |
20H04283
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
作村 諭一 奈良先端科学技術大学院大学, データ駆動型サイエンス創造センター, 教授 (50324968)
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研究分担者 |
申 ウソク 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 副研究部門長 (10357246)
増田 佳丈 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (20324460)
宮内 睦美 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50169265)
赤松 貴文 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (60635316)
伊藤 敏雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90377888)
清水 淳市 愛知県がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (80796889)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 呼気内揮発性有機化合物 / がん診断 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
血液成分は肺を介して呼気に反映される。ゆえに呼気成分による高精度な診断が可能となれば、患者の初期スクリーニングとして有効である。本研究の目的は、非侵襲的な呼気内の揮発性有機化合物(VOC)による疾患診断の性能評価と生物学的な解釈を行い、侵襲的な血液検査に代わる信頼性のある診断技術の確立を行うことである。コロナ禍の影響により、研究期間に行う予定であった肺がん患者の呼気採取が十分に行えなかった。ゆえに、令和3年度は研究期間前に呼気を取得済みであった健常(C)、歯周炎(PD)、NASH、肝がん(HCC)について、高精度の診断方法の開発を目的とした。 3種の2クラス診断(C-PD; C-NASH; C-HCC)について一般的な機械学習法(サポートベクターマシン、ランダムフォレスト)を適用し、診断性能を評価した。ある程度の診断精度(80%強程度)は得られたが、実用化が望まれるほどのものではなかった。学習法だけでなく、不均衡なサンプル数の対応、あるいは適切な前処理などを検討し、精度向上が必要であることが分かった。また、単に精度が得られるだけではなく、生物学医学的な解釈を与えるため、肝臓内の酵素や腸内細菌の可能性を検討している。一方で、がん細胞が分泌する成分の解析を行った。サンプル数が少ないため、検出値の統計的な有意性などを検討中である。肺がんについては、新規呼気の採取が必要であるが、コロナ禍のために現在のところ行えていない。データ取得ができない間、データ前処理法や複数のセンサーによる検出値からの知見抽出法など、データ解析手法に関して開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のために呼気採取ができていないため、新規呼気ガスによる解析が行えなかった。その代わりのデータ解析法については、予定していなかった内容を含めて進捗が見られた。
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今後の研究の推進方策 |
予備的な解析では、診断性能の大幅な改善が見込まれ、その生物学医学的解釈もクリアにできそうである。これらに関して結果の信頼性を高めるためのデータ解析を大幅に行う。データ解析法については、論文化の目処がついたため、その内容を学術誌に投稿する。
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