研究課題/領域番号 |
20H04286
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
平田 豊 中部大学, 工学部, 教授 (30329669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 眼球運動 / 人工小脳 / 金魚 / 運動制御 / 運動学習 |
研究実績の概要 |
本研究では,動物に普遍的に見られる予測性適応運動制御の神経機構を明らかにし,それを脳型制御器として計算機上に実装して,実機の予測性制御を実現することを目的とする.ほぼ全ての脊椎動物で観測される視運動性眼球運動(OKR)と呼ばれる反射性の眼球運動を対象とし,ヒ ト,マウス,金魚における予測性OKR獲得の脳内機構を神経生理学的アプローチにより,神経ネットワークと神経細胞活動のレベルで理解する.これまでの我々の魚を対象とした研究から,予測性OKRには小脳と脳幹前庭神経核間を並列・再帰的に接続する神経ネットワークが深く関与することが示唆されており,ここでは,これらの知見と本研究で得られる動物種横断的な実験結果を忠実に反映させた小脳・脳幹数理モ デル(脳型予測制御器)を構築する.さらに,この脳型予測制御器を実機制御に適用し,ロボット等の機械システムが予測制御機能を獲得可能なことを評価・実証する.
本研究では,次の4つのレベルの研究を進め,上記目的の達成を目指している:1 行動,2 神経細胞活動,3 神経ネットワーク,4 工学応用.R2年度は主に1のレベルの研究を進めている.特に,これまでの我々の金魚,鯉,ゼブラフィッシュ,メダカを用いた実験で明らかになりつつある,左右の脳幹前庭神経核を双方向に接続する神経回路で実現される眼球速度蓄積機構(Velocity Storage Mechanism:VSM)と予測性OKR獲得良否の関係性についてマウスで評価した.その結果,マウスのVSM容量は極めて小さいことが明らかになり,予測性OKRも獲得されないことが示された.この結果は,同様にVSM容量が小さいゼブラフィッシュとメダカが予測性OKRを獲得しない結果と一致するものであった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界的半導体不足の影響により実験装置の導入が遅れ,計画通りに実験を開始できなかった.その分,当初予定よりもデータ収集のペースに遅れが生じたが,その後順調に実験を進められている.
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」に記した4つのレベルにおけるアプローチを順に進め,研究期間終了時の本提案研究目的達成を目指す.
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