研究課題/領域番号 |
20H04289
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
沼尾 雅之 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90508821)
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研究分担者 |
高玉 圭樹 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20345367)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日常生活行動 / 機能的自立度評価 / オントロジー / 行動認識 / 睡眠段階認識 / 機械学習 / IoT |
研究実績の概要 |
本研究では,日常生活行動(ADL)と夜間の睡眠状態をモニタすることによって,運動・認知機能の自立度を自動的に評価する見守りシステムを構築し,その有効性を評価することを目的にする.具体的には,まずADLを知識表現言語オントロジーによって定義する.センサデータからの生データを機械学習によって5W1Hデータに変換し,それをオントロジーの論理推論によってADLを認識する.さらに,機能的自立度評価法(FIM)もオントロジーで定義することによって,個々のADLにかかった時間や介護の有無といった特徴によって自立度を評価する.そしてレーダーチャートによって可視化することで,自立度の変化を客観的に理解できるようにする.本年度は下記の2項目を行った. ① ADLオントロジーの定義とADLコンテクストの機械学習:ADLを「誰がいつどこで何をどのようにする行動」という5W1Hの形で定義し,オントロジー言語OWLによって記述した.介護度判定にも利用できる機能的自立度(FIM)評価に必要な18個のADLを定義した.記述論理の推論機構によってセンサーから認識されたADLからFIM評価値を決定することができるようにした. ② 睡眠オントロジーの定義と睡眠コンテクストの機械学習:睡眠オントロジーでは,睡眠時に起こす様々な行動,例えば 無呼吸症候群,寝返り,いびき,徘徊など,そして睡眠段階の4レベルを,心拍・呼吸・体動のコンテクスト情報との関係で定義した.さらに,睡眠中の心拍データのみから認知症を判定する機構(認知機能の推定に相当)を開発し,実際の介護施設において実証実験を行い,その有効性を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADLオントロジーの定義とADLコンテクストの機械学習では,行動ADLと認知ADLをオントロジー言語OWLによって定義した.認知機能ADLを追加定義したことによって,認知症診断で用いるHDS-R法なども扱えるようになった.HDS-Rの会話データや日常会話からも,認知ADLを判定し,そこから認知機能のFIMを計算する方法を定義した.介護施設や研究室で収集した日常生活行動データを用いてで実験と評価を行い,ADL認識およびFIM評価をして有効性を確認した. 睡眠オントロジーの定義と睡眠コンテクストの機械学習については,睡眠オントロジーを睡眠時に起こす様々な行動と睡眠段階を心拍・呼吸・体動のコンテクスト情報との関係で定義した.マットレス型センサから睡眠中の心拍データを取得後,そのデータの変化からサーカディアンリズム(約一日の生体リズム)を推定し,通常のサーカディアンリズムからのズレから,認知症を判定する機構を考案した.また,介護施設の認知症高齢者と,通常の健常者(高齢者,中年者,若年者)を比較したところ,認知症高齢者を9割の精度で特定することに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は下記の2項目を行う. ①システム統合と実証実験による評価:複数のセンサや対話機能を搭載した見守りロボットを開発し,実際の高齢者介護施設に設置して実証実験を行い,ADL認識精度やFIM判定結果の精度を評価し,有効性を検証する.評価項目としては,認知ADL認識とFIM評価の精度,また,HDS-R法との比較も行う.マットセンサから得られた心拍データから推定したサーカディアンリズムのズレから,認知機能度合いの変化を分析するとともに, ②日中行動と夜間睡眠の相互作用の解析:昼寝を含む日中行動と睡眠状態の関係を明らかにする.また睡眠時に起こす様々な行動として無呼吸症候群に着目し,その判定法と認知機能との関係を分析する.実証実験で得られたデータ解析により,日中行動と夜間睡眠の間の相関関係をマイニングする.昼間の行動が睡眠に及ぼす影響,そして,睡眠が昼間の行動に及ぼす影響について,実データに基づいた解析を試みる.結果については,研究協力者である聖マリアンナ医大の協力も得て,医学的な見地からの解明もする.
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