最終年度に当たり、多様な生涯学習者(特に高齢者を含む成人)が生涯にわたり、パーソナルな学習環境と学習過程(あわせて「パーソナル学習」という)を実現するためのデジタルエコシステムの実現に向けて、当初の計画に即し、「多様性・公正性・包摂性(DEI)」、「持続可能な開発目標(SDGs)」や国際技術標準を視野に入れた研究を進めた。4年間の研究期間で、技術動向やニーズの調査、サブシステムのプロトタイプの開発、デジタルエコシステムへの統合、国内外での実証実験と進めるはずであったが、COVID-19パンデミックの影響は深刻で、国際共同研究としての調査や研究組織の構築、高齢者を含むユーザのニーズ調査については一部繰越して、令和5(2023)年度に実施した。成果としては、令和4(2022)年度繰越分による開発も含め、電子書籍型学習プラットフォーム(学習オブジェクトリポジトリ機能含む)のプロトタイプを開発したほか、前年度までに開発したカリキュラム標準・シラバスデータベースのサブシステムを作成し、メインシステムとのデータ連携を検証した。タイにおいて調査を実施し新たな共同研究体制を準備できたほか、海外の導入事例や国際技術標準(1EdTech ConsortiumのOpen Badge、CLR、CASEなど)の仕様については引き続き最新動向を調査した。コロナ禍の影響に加え、令和4(2022)年度以降生成系AIの出現という、申請時当初予測できなかった事象が発生し、自律型学習管理システム(パーソナルAIチュータ)の設計を根本から見直す必要があり、この部分は今後も継続する。令和5(2023)年度分の成果として書籍分担執筆1編(校閲中)、論文2編、学会発表6件(海外4件、国内2件)を発表した。
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