研究課題/領域番号 |
20H04299
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
林 勇吾 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (60437085)
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研究分担者 |
森田 純哉 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40397443)
大本 義正 静岡大学, 情報学部, 准教授 (90511775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 知的学習支援システム / 社会的信号処理 / マルチモーダル分析 / CSCL / 認知科学 / コンセプトマップ / 認知モデル / ACT-R |
研究実績の概要 |
本研究で掲げる目標は,認知科学や学習科学の分野で提唱されているICAP 理論に基づき,学習者の状態を推定する計算機モデルを提案し,それを促進するための学習支援システムを開発することである.今年度は,当初の予定通りに検討を進めていくことができた.具体的には,前年度に収集した学習者の対話実験の知見をもとに,教育用会話エージェント(PCA:Pedagogical Conversational Agent)の開発に向けた検討を行った.今年度は生体情報を用いた心理学実験の実施は実施できなかったが,会話の分析を中心とした実験を計画し,得られた知見に基づいて検討を進めた. 林のグループでは,(1)協同学習におけるファシリテーション方法に関する心理学実験と(2)(1)で得られたデータをもとにしたモデルの開発に関する検討を行った.(1)に関しては,ICAP理論に基づいて作成されたファシリテーションプロンプトの利用による学習効果の促進に関する検討を行った.さらに(2)に関しては,本研究で扱う課題において,学習者の知識利用に関する認知モデルをACT-Rにより実装する試みを行った.大本のグループでは,昨年に引き続き,表情と視線,韻律とともに,課題操作の履歴を分析することで機械的に取得できるデータに基づく学習状態の推定を試みた.その結果,機械的な計測データのみから学習者の活動状態を7割程度の精度で推定できる可能性が示唆され,自律的なファシリテーションエージェントの作成に有用な知見が得られた.森田のグループでは,昨年の実績に引き続き,オンライン上でのグループワークにおける主体的な学びを検討するためのデータを新規に取得した.それらのデータに対して,顔画像や韻律特徴などの分析を行い,グループ間の差異などを検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験室実験を実施し,計算機シミュレーションに必要なデータの収集を行うことができた.実験は,当初予定していた内容とは異なる内容のものであったが,当初の目標を達成するための検討を行うことができ,それをもとに論文の執筆も行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究実施計画としては,教育用会話エージェントを用いたファシリテーションの有用性の検証について実験的に検討を行いつつ,知的学習支援システムCollaborative Cognitive Tutor(CoCoT)のプロトタイプを完成させていく予定である.
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