研究課題
2022年度のバイカル湖調査は、直前になってロシア科学アカデミーの共同研究者の都合により調査船を用いた調査および氷上調査を含む全ての調査が実施できなくなった。本研究の遂行上、メタンハイドレート(MH)が存在する水域での調査が不可欠であるが、バイカル湖における調査を実施できる見通しがたたないことがわかった。そこで調査が実施可能な日本周辺のMH存在海域における調査船を用いた代替調査に変更する必要が生じた。昨年度までに本研究代表者らは北海道周辺海域において水深と水温が異なる複数のMH存在海域を発見している。それらの海域で最も水深が浅く本研究目的に最適と考えられる北海道網走沖海域を代替調査域として計画を立案した。比較対象MH存在海域として北海道日高沖海域を選定し、所属大学の経費による調査計画も立案した。2023年10月に網走沖海域において、同年11月には日高沖海域において、調査船を用いた物理探査および海底表層堆積物コア採取による調査を実施した。両調査海域において海底3次元マップの作成と海底表層堆積物コア採取に成功し、日高沖海域においては新たなMH存在海域も発見した。これまでの調査域よりも浅い水深の水域における調査では、複数の海底表層堆積物コア採取に成功した。調査船内における目視観察では堆積物コア中にはMH存在は目視確認できなかったが、堆積物および間隙水の化学解析等を実施し、堆積物コア中もしくはコア採取位置の周辺のMH存在を示唆する結果を得た。本研究調査結果により、本研究期間中に発見したバイカル湖底のMH存在域だけではなく、本研究代表者らがこれまでの調査を実施してきた北海道周辺海域においてもMH安定領域の境界に近いMH存在水域の発見が期待されるとともに海底表層堆積物コア試料の採取と解析によって環境変動によるMHの安定性および温室効果ガス放出等の研究推進が期待できる。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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