研究課題/領域番号 |
20H04306
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
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研究分担者 |
立花 義裕 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10276785)
小松 幸生 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30371834)
山本 雄平 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任助教 (30845102)
藤田 実季子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), 副主任研究員 (50426293)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 可降水量 / 水蒸気観測 / マイクロ波放射計 / 雲カメラ / GNSS / 船舶観測 / 衛星観測 |
研究実績の概要 |
複数の船舶に設置したマイクロ波放射計・雲カメラ・GNSS受信機による雲・水蒸気高頻度連続観測を実施した。コロナ禍の影響により、航海日程が大幅に変更されたため、通年観測を予定していた三重大学「勢水丸」での観測開始は2020年8月、東海大学「望星丸」での観測開始は2021年2月になった。また、2020年4月に予定されていたJAMSTEC「白鳳丸」の北西太平洋航海は2021年2月、2020年6月に予定されていた同「みらい」の熱帯西太平洋航海は8月の実施となった。このため、予算の一部を繰り越し、当初予定になかった2021年5月からのJAMSTEC「みらい」での観測を実施した。「白鳳丸」と「みらい」では、GPSゾンデによる高層気象観測も同時に実施し、マイクロ波放射計による海上水蒸気量推定の精度検証を行った。 ひまわり8号から可降水量を推定する手法については、既往研究を調査し、雲マスクアルゴリズムの開発と機械学習を用いた推定手法の開発に着手した。また、2020年8月から京都大学防災研究所潮岬風力実験所にマイクロ波放射計・雲カメラ・GNSSを設置し、沿岸域での長期連続観測を開始した。潮岬風力実験所に隣接する気象庁ゾンデ観測データとの比較検証から、マイクロ波放射計データから、鉛直積算水蒸気量(可降水量)だけでなく、地表から高度5000m程度まで100m毎の水蒸気鉛直プロファイルが精度よく推定できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため、当初予定していた船舶観測の日程が大幅に変更されたが、繰り越しによる「みらい」での追加観測が実施でき、2年連続で、熱帯域での水蒸気観測データを取得できた。他の船舶も当初より遅れたものの、その後の観測は順調である。ひまわり8号からの可降水量推定は機械学習を用いたプロトタイプの開発に着手した。潮岬風力実験所でのマイクロ波放射計・雲カメラ・GNSS長期連続観測と気象庁ゾンデ観測との比較による精度検証が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
複数船舶による海上水蒸気量観測を継続し、日本近海、熱帯、北太平洋のデータ取得を進め、多様な大気状態における水蒸気量観測に取り組む。JAMSTEC「新青丸」による日本南岸での黒潮横断観測を実施し、黒潮による海上水蒸気量の変化を解析する。ひまわり8号の海面における雲域検出手法を構築し、船舶観測との比較を進める。潮岬風力実験所での連続観測を継続し、マイクロ波放射計の水蒸気推定手法の高精度化を進める。
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