研究課題
本研究では、代表者の研究で深海底地層から発見したマンガンを主成分として、金属を濃縮したミクロスケール微粒子「微小マンガン粒」の形成過程や、金属微粒子が長期的に海底地下に保持される仕組みについて、海底下のマンガン鉱物だけでなく、鉱物・有機物分析を含めて実施することにより、海洋環境や物質循環の観点から検討を進めた。2021年度での取り組みで長年の課題となっていた化学的な状態変化のなくマンガン微粒子の解析に成功し、地層の環境状態を把握する基礎を確立することができたことから、2022年度は様々な海洋環境下の海底堆積物の分析を進め、2021年度に確立した手法の適用可能性を検証した。また、海底地層に含まれる有機物分析を通して、過去の温暖化した地球における炭素循環の特徴を検討したところ、温室地球において陸上ー海洋間の炭素循環が乖離し、特に温暖化が最も進行するタイミングで海底下への有機物の大量埋没に伴う炭素循環の変化が認められた。これら海底地層の分析結果は、それぞれ研究成果の投稿論文を執筆中である。他方、これまでに検討・確立してきた地層中に含まれる微小な構造技術を、深海底地層環境中の鉱物資源だけでなく、高知県における土佐硯の原石や、コンクリートなどの人工石材の解析に応用する検討を行った。土佐硯石は、太古の海底で形成した地層である粘板岩を原料とし、この検討では、粘板岩中の微小鉱物・有機物の性質を指標として枯渇する土佐硯石の原石分布の地質調査を行った。その結果、実際に硯製作が可能な粘板岩の鉱脈が見出され、鉱脈内から硯石を採石可能な新たな露頭を見出しつつある。粘板岩の分析データは硯石の性質として整理し、論文を投稿した。コンクリート分析は、実験的にセルロースナノファイバー(CNS)を混合し、強度増強したコンクリートを作成し、コンクリート内の空隙をCNSが補強することを突き止め、論文発表した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
コンクリート工学年次論文集
巻: 44 ページ: 1492-1497