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2020 年度 実績報告書

バイオマス燃焼起源有機分子マーカー・BCを用いた北極ツンドラ火災の検出手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20H04312
研究機関東京薬科大学

研究代表者

熊田 英峰  東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (60318194)

研究分担者 内田 昌男  国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 主幹研究員 (50344289)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードブラックカーボン / 放射性炭素 / 加速器質量分析計(AMS) / 極微量14C分析 / 永久凍土 / ステロール / 短鎖脂肪酸
研究実績の概要

1. 試料確保に向けた取り組み:昨年度よりコロナ禍の影響により遅延していた調査の実施に関連して、アラスカ大学研究者と連携し、アラスカ大学にてアーカイブされている試料(湖沼堆積物, 凍土)の2022年度の調達に向けた協議と, 2023年度の調査許可、ロジスティックスの準備を開始した。
2. BC-14Cに関する実験:凍土試料のBC-14C分析では、加速器質量分析計(AMS)による極微量計測(マイクログラム炭素量)が必要である。これに対応するため、スタンダードから作成した極微量グラファイトを疑似BC試料とし、ここからの負イオン(14C含む)生成条件を検討し、イオン源引き出し電量の最大化することに成功した。この条件により、酸処理後、国内保管されていた凍土試料から抽出したBCの14C測定を行った。以上の成果の一部は、国際加速器質量分析会議(AMS-15,オーストラリア)にて発表し、国際誌に投稿した。
3. BCプロファイルの燃焼履歴指標としての有用性評価について:100年程度までの近過去の堆積物においては、BCの鉛直分布を過去の大規模火災履歴とよく一致する例が散見されるが、より長期間(数千年以上)にわたりBCの鉛直分布が燃焼履歴と一致するかどうかという点に関しての知見はないことから、最終氷期から完新世の柱状堆積物について、BCとPAHsの鉛直分布を比較・検討した。その結果、BCの長期堆積履歴のうち、最終氷期以降の層順ではBCとPAHsの堆積履歴に相関性が認められ、BCを用いた堆積履歴復元が数千年オーダーで可能なことが明らかとなった。
4. バイオマーカー分析に関する取り組み:燃焼履歴復元のバックグラウンドデータとして、生物活動の履歴復元のためのバイオマーカー分析の最適化を行った。具体的には、ステロール類と脂肪酸類について土壌サンプルからの抽出精製法の検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルスの感染拡大による渡航制限のため、アラスカ現地で採取した凍土コアサンプル(アーカイブ試料)の輸入が2021年にも実現しないままであった。一方で、14CBC測定については、代替試料(酸処理済み凍土試料)を用いて、BC抽出条件や極微量AMS-14C測定のための条件検討を一部進めることはできた。燃焼記録マーカー、バイオマーカーについては、酸処理済みの試料を使用することはできないため、国内採取土壌を使った検討に着手、一部の項目では検討を終えることができた。また、2022年度のアーカイブ試料入手、2023年度の現地サンプリングに向けた調整を開始した。これらの状況を総合して、「やや遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

2022年度は、アラスカ現地で採取した凍土コアサンプル(アーカイブ試料)の輸入できる見込みである。このサンプルについて、すでに条件検討が終了しているBC抽出および14C-BC分析を進める他、過去の研究で抽出、精製法を確立済みの燃焼精製分子マーカーのPAHsについても、分析も進める。PAHs以外のバイオマス燃焼分子マーカーであるレボグルコサンの抽出精製法を検討に着手し、プロファイルデータの一部取得を目指す。また、現地協力研究者と2023年度の凍土コア採取に向けて調整を開始しており、その分析に取り掛かる準備も進める予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)

  • [学会発表] 化合物レベル安定同位体比測定のための土壌中ステロールの分離精製法の検討2021

    • 著者名/発表者名
      熊田 英峰, 栗山 遥奈, 竹内 理子, 梅村 知也
    • 学会等名
      第29回環境化学討論会
  • [学会発表] 深海底堆積物における黒色炭素堆積履歴の燃焼指標としての有用性評価2021

    • 著者名/発表者名
      熊田 英峰, 内田 昌男
    • 学会等名
      第29回環境化学討論会
  • [学会発表] GC-MS測定にむけた代謝関連低分子量有機酸のベンジルエステル誘導体化反応の最適化2021

    • 著者名/発表者名
      渋田 陽子, 熊田 英峰, 梅村 知也
    • 学会等名
      第81回分析化学討論会
  • [学会発表] Improvements for ultra-microscale radiocarbon measurements at NIES-TERRA2021

    • 著者名/発表者名
      Uchida M., Mantoku K., Kobayashi T.
    • 学会等名
      The 15th International Conference on Accelerator Mass Spectrometry
    • 国際学会
  • [学会発表] Radiocarbon-based carbon source apportionment of black carbon and organic carbon in carbonaceous aerosols in Asian outflow2021

    • 著者名/発表者名
      Uchida M., Kumata H., Kaneyasu N., Handa D., Arakaki T., Mantoku K., Kobayashi T., Kawamura K.
    • 学会等名
      The 15th International Conference on Accelerator Mass Spectrometry
    • 国際学会
  • [学会発表] Fine-scale ground truth of ground displacement in the Anaktuvuk River Fire (ARF) for satellite and airborne L-band SAR2021

    • 著者名/発表者名
      Iwahana G., Busey R., Muskett R.R., Zwieback S., Meyer F.J., Ohno H., Uchida M., Saito K.
    • 学会等名
      AGU Fall Meeting 2021
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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