研究課題/領域番号 |
20H04316
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
柏原 輝彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), 副主任研究員 (70611515)
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研究分担者 |
臼井 朗 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任教授 (20356570)
加藤 真悟 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 上級研究員 (40554548)
菊池 早希子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), ポストドクトラル研究員 (50758852)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 深海底での現場実験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、深海底での元素吸着・微生物培養実験という全く新しいアプローチによって、(i)水酸化鉄やマンガン酸化物などの各構成鉱物への無機吸着反応、(ii)鉱物表面で生じる微生物群衆と微生物-鉱物相互作用、(iii)鉄マンガン鉱物の初期沈殿、の各素過程の詳細と相互関係を明らかにし、その上で、それらが周囲の環境条件の変化とどう対応し天然環境でバリエーションを生み出しているのかを明らかにすることである。 今年度は、約半年間の深海底での現場実験によって得られた鉱物試料の化学分析を開始した。まだ分析は途中であるが、半年間の設置期間でも元素によっては、それなりの高濃度で合成鉱物に濃集する傾向があること、また、鉄鉱物やマンガン鉱物の表面特性の違いに応じて濃集する元素に違いがあることが明らかになりつつある。また、人口プレートの表面には鉄やマンガンの微小粒子が付着していることも見えつつある。さらに、合成鉱物の表面には現場実験を通じて微生物が繁殖し、解析に十分な量のDNAが採取できることも分かった。一方、現場実験と同じ場所で採取した天然の鉄マンガンクラストについて化学分析および同位体比分析も行い、水深方向の化学情報の変化を調べた。その結果、水深1000m付近での海水中の酸素濃度の現象、すなわち酸素極小層に対応する形で、希少金属である白金の濃度が上昇すること、テルルの同位体比が変動していることなど、複数の金属元素の挙動の変化を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に設計、準備した道具を使い、深海底で短期間の現場実験を行った試料から既に結果が得られ始めているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は水深の異なる複数地点において、1-2年のより長期間での現場実験を通して、元素の濃集や微生物群衆がどのように変化していくのかを調べる。また、深海だけでなく、表層海水や陸水を用いた実験を行うためのフィールド調査、装置設計などを継続し、今後も継続していく深海底での現場実験への指針を得ると共に、深海での現場実験で得られた結果の理解を深める。
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