研究実績の概要 |
SEIB-DGVMによるシベリア全域(北緯50-70度、東経60-150度)の現在気候データによるテストランを行なった。入力にはCRUおよびNCEP/NCAR気候データを利用し、炭素蓄積量を平衡させるためのスピンアップ(1000年間:1901-1930年の気候データを繰り返し与える)行い、モデルが現在(1990-2017)において正常に稼働することを確認した。また、火災モジュールを作るための各種衛星データ等(土壌水分(SMOS, 9km x 9km, 3時間ステップ, NASA)、落雷(OTD, 0.5o x 0.5o, 年平均, NASA)、気候(CRU TS 4.01, 0.5o x 0.5o, 月ステップ)、人口分布(GPW, 0.25o x 0.25o, NASA))も入手し、0.5o x 0.5o, 月ステップのグリッド化されたフォーマットに統一加工した。消失バイオマスあたりに放出されるエアロゾル量については、火災エアロゾル放出係数(Akagi et al., 2011, ACPなど)をもとに、SEIB-DGVMの火災モジュールに追加する形でプログラムを変更している。 火災発生の推定精度が森林生態系の炭素収支に与える影響をあらかじめ把握するために、火災発生確率を1倍、10倍、50倍に変化させて、濃度経路シナリオ(RCP)2.6および8.5による将来気候データを利用しシミュレーションを行なったところ、確率が増加するにしたがって、現在と比べて将来(2071-2100年)に総一次生産、純一次生産、および森林バイオマス量が著しく低下することがわかった。
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