研究課題
最終年度の2022年は、7月11-19日に長崎大学水産学部練習船「長崎丸」を用いて2年ぶりに東シナ海陸棚外縁域での観測を行った。CTD観測、乱流微細構造、潮汐流、溶存酸素濃度の時系列観測を実施した結果、外部陸棚で低酸素水塊の分布を捉えた。海水の区分を希土類元素、硫黄同位体、天然放射性元素Ra同位体など複数の化学トレーサーを用いて解析した結果、低酸素水は6~8割が黒潮亜表層水(KSSW)で、1~2割が東シナ海内部・中央陸棚由来の低酸素水が寄与していることが分かった。また、堆積物中間隙水の影響を把握するため、船内で富山大式ドライチャンバーにRAD7 Big Bottle Systemを連結して222Rnを計測し、海底直上0.3mの海水中の222Rn濃度が海底上5mの海水に比べて1桁高いことを明らかにした。更に、137Csの分析結果から、東シナ海陸棚外縁中央部における低酸素水塊が等密度面に沿って黒潮域に流れ、周辺の海水と混合しながらも7割程度を保ったまま下流域の対馬海峡を通過して日本海に流入することが示された(張)。一方、物理観測からは、海底近傍の溶存酸素濃度は半日周潮がもたらす乱流強度の1/4日周期変動と同期して変動するだけでなく、水平移流効果による半日毎の一時的な低下が明らかとなった(遠藤)。また、生態系モデルを用いたシミュレーションでは、1951~2006年のWorld Ocean Database2018に基づいて、貧酸素水塊が出現する夏と秋を中心に、東シナ海の代表的な水深における溶存酸素濃度(DO)の経年変動について解析を行った。その結果、夏から秋にかけて10m水深ではDOが増加する傾向が見られる、30m、50m、75m、100m水深ではDOが減少する傾向が見られた。特に、夏の30m水深と秋の50m水深でDOの減少率が最も大きくなることが明らかとなった(郭)。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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