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ラドン輸送壊変核種沈着モデルの開発では、昨年度までに作成した沈着モデルを組み込んだモデル開発を完了し、北半球域、アジア域、日本域のPb-210 沈着量分布計算を2012-2015年の4年間を対象に実施した。計算結果検証では、既往研究の沈着量観測値を概ね良好に再現していること、日本域での詳細分布については、Pb-210の先行核種であるPb-214・Bi-214の湿性沈着で生じる空間線量率上昇の実測値を計算値が良好に再現していることを確認した。
計算結果の解析により、1）冬季日本海側での沈着量は北半球内で特異的に大きいこと、2）その要因はシベリア東部および中国東部での大気中平均滞留時間が顕著に長く、蓄積域となっていること、3）冬季季節風の吹き出しよるPb-210輸送と日本海側での降水が重畳すること、4）これらの現象が継続して起こるのではなく数日から1週間程度の周期で間欠的に起こり、大沈着量事象が月間及び年間の沈着量を決めている等、日本でのPb-210 沈着の特異性及びそのメカニズムを明らかした。また、5）日本海側でも中部から北側では沈着量が多いが、中部以西では西ほど少ないこと、6）沈着量が特に大きい範囲は日本海海岸線から直近の山地・山脈風上側の数十㎞幅の帯状であり、局地性が高いこと等の分布の特徴を明らかとした。
降水中短半減期壊変核種濃度測定装置による測定結果の解析を継続し、半数程度の高濃度事例では5分単位での降水中Pb-214、 Bi-214濃度解析が可能であることが示された。高時間分解能データより、5mm/h程度までの弱雨では沈着フラックスは降水強度に比例し、それ以上の中・強雨では沈着フラックスはほぼ一定であることが見いだされ、前者では沈着フラックスは沈着効率律速で決定され、後者では核種供給量律速で決定されていると考えるのが合理的であると結論された
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