研究課題
本研究では、土壌有機炭素-粘土鉱物界面の解析によって有機炭素の蓄積メカニズムを解明し、また微生物群集組成および活性の解析によって有機炭素の分解メカニズムを明らかにする。さらにそれらが、実測された土壌有機炭素の分解・蓄積を説明できるかを検証し、土壌有機炭素動態の予測に重要なメカニズムを特定する。本年度は、インドネシアおよびタンザニア火山帯の土壌を対象として、細菌と糸状菌の群集構造を解析し、各環境下で有機物分解に寄与する微生物を特定した。細菌は炭素および窒素が多い土壌で糸状菌よりも優勢であり、一方糸状菌は多様な有機基質に適応するため存在量、群集構造とも変動が小さかった。細菌、糸状菌の両方において群集構造は、地理的な位置よりも気候に強く反応した。気候、特に水分条件が、土壌pH、活性Al/Fe含量、土壌有機物の質を通して、細菌と糸状菌の分布に影響していることが示された。また、乾燥熱帯を対象として、土壌有機物の蓄積形態について調べた。従来の認識とは異なり、pHが中性付近の土壌においても活性Al/Feが有機物の安定性を制御していることが示された。中性付近の土壌pHおいては、微生物活性が高く、また有機物を安定化する活性Al/Fe含量が低いことから、土壌有機物は強く分解をうけていた。さらに、安定同位体炭素でラベリングした植物残渣を土壌に投入し、その蓄積を調べた。その結果、粘土画分が鉱物結合体の有機物として添加有機物中の炭素に寄与する一方、粘土画分とシルト画分が活性Al/Feによって団粒構造を作ることによって添加有機物中の炭素を団粒内に蓄積していることが示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 2022 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 7件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件)
CATENA
巻: 235 ページ: 107685~107685
10.1016/j.catena.2023.107685
巻: 239 ページ: 107907~107907
10.1016/j.catena.2024.107907
Geoderma
巻: 430 ページ: 116289~116289
10.1016/j.geoderma.2022.116289
巻: 433 ページ: 116454~116454
10.1016/j.geoderma.2023.116454
Soil Science and Plant Nutrition
巻: 69 ページ: 209~214
10.1080/00380768.2023.2199777
巻: 440 ページ: 116709~116709
10.1016/j.geoderma.2023.116709
Encyclopedia of Soils in the Environment, 2nd Edition
巻: 4 ページ: 121~134
10.1016/B978-0-12-822974-3.00223-8
巻: 425 ページ: 116058~116058
10.1016/j.geoderma.2022.116058