研究課題/領域番号 |
20H04324
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
豊田 岐聡 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80283828)
|
研究分担者 |
中山 典子 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60431772)
古谷 浩志 大阪大学, 科学機器リノベーション・工作支援センター, 准教授 (40536512)
当真 要 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (10514359)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 土壌ガス / 多成分同時連続モニタリング / マルチターン飛行時間型質量分析計 / オンサイトモニタリング |
研究実績の概要 |
既存のマルチターン飛行時間型質量分析計「MULTUM」と土壌チャンバーを組み合わせた「濃度差が6桁に及ぶ土壌ガス4成分の同時連続フラックス測定システム」を構築し,7成分の無機・有機ガス(N2・O2・CO2・ N2O・NO・CH4・C2H4)を同時に長期間連続測定できるようにした.このシステムの測定精度や再現性について,実験室のドアを解放するなどして屋外に近い形にすることで2日間連続で評価をし,質量ドリフトは4mDa以下,定量の変動係数は8.6%(CO2の結果)であることを確認した また,この装置での農場での連続観測も行なった.コロナ禍で県境をまたいでの移動が非常に困難な状況で,かつ,学外者の来訪を禁じている状況ではあったが,愛媛大学農学部附属農場の観測場所以外には立ち入らない,宿泊は学外でする,訪問者は1名に限ることを条件に,少し感染がおさまっていた11月後半の時期に,なんとか2週間連続のフィールド観測を実施することができた.従来の方法とも比較が可能なように手動でのサンプリングも同時に行った.取得したデータは膨大であるため,現在も解析を続けている状況である, これまで使用してきたマルチターン飛行時間型質量分析計「MULTUM」が老朽化し,求める感度を達成できなくなってきたため,最新型のMULTUM(製品名infiTOF)を新規に購入した.制御システムが従来のものとは全く異なるものになっているため,現在土壌から発生するガスをオンサイトで連続測定可能になるように改良を進めている状況である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で県境をまたいでの移動が非常に困難な状況でありながら,当初予定はしていなかった愛媛大農場での2週間連続のフィールド観測を実施することができ,想定以上の成果を得ることができた. 一方で,土壌内部の生態系起源ガスの挙動を捉えるために,浸透膜による土壌内部のガス採取法の実験条件を室内実験により明確にするための研究は,新型コロナ感染拡大の影響で研究活動に制限があり,評価を十分に行えなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
土壌内部の生態系起源ガスの挙動を捉えるために,浸透膜による土壌内部のガス採取法の実験条件を室内実験により明確にするための研究については,昨年度十分に行えなかったため,次年度継続して実施する.採気管は,土壌構造の破壊を最小限にして採取できる浸透膜チューブ を用いる.室内実験室において,模擬土壌試料中に浸透膜採気管を埋め込み,浸透膜チューブ内に常時ゼロガスを流しながら,目的とする土壌内部の多成分ガスの浸透チューブ内への浸透率を測定する.実験条件を変化させ、高い浸透率のための実験条件(本研究に適した浸透チューブの仕様、ゼロガス流量など)を決定する.浸透膜採気管とMULTUMとを接続した土壌内部の多成分ガス分析システムを構築し,各ガス成分の感度 や精度の評価を行う. また,新たに購入したマルチターン飛行時間型質量分析計を,野外での長期連続測定に用いるために,消費電力を抑えるシステムに改良したり,測定システム全体の自動化や,取得される膨大なデータの処理ソフトウェア,遠隔制御システムなどの精緻化を行う.
|