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2022 年度 実績報告書

海洋の微生物への温暖化の影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H04325
研究機関高知大学

研究代表者

萩野 恭子  高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任助教 (90374206)

研究分担者 氏家 由利香  高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (20573041)
星野 辰彦  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30386619)
Jordan Richard  山形大学, 理学部, 教授 (90260455)
宇都宮 正志  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10738313)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード温暖化 / 円石藻 / 微細藻
研究実績の概要

本研究の目的は、海洋の温暖化が顕著になる以前の海洋における第一次生産者(特に円石藻とパルマ藻等)の生物地理を解明することにより、現在進行しつつある海洋温暖化が海洋の植物相に与えた影響を評価するための、基準となる情報を確立することである。研究対象としては、1960年代から1970年代前半に、世界各地において作成された海水ろ過フィルター試料(海水をろかしたフィルターを保存したもの)を用いる。このフィルター試料を、顕微鏡観察に基づいた形態群集解析と、フィルターからのDNA抽出物を用いたメタゲノム解析の両方に基づいて検証することによって、海洋温暖化が顕著になる以前の、海洋微生物相の基準となる地図を作成する。以上の目的を達成するために、2022年度は以下の課題に取り組んだ。
(1)2021年度までに検鏡が終わっている筈だった光学顕微鏡観察用の試料約3000の内、コロナ過による作業の遅れのために、検鏡が終わっていなかった約2000試料の検鏡を行い、主に円石藻の石灰質鱗片の保存状態の確認作業を行った。多くの航海の試料は、円石藻鱗片を維持しているのは10-30パーセントの試料のみだったが、90パーセント以上の試料が円石藻鱗片を保持している保存状態が良い試料群も見つかった。
(2)光学顕微鏡解析の結果に基づいて選定した試料のSEM観察に基づいた群集解析を行った。昨年度の結果と同様に、検鏡した多くの試料ではプリムネシウム亜綱のうちイソクリシス目のGephyrocapsa 属(旧Emiliania属 を含む)が最も優勢であり、形態群集解析では、石灰質鱗片の形態タイプに水塊に応じた変化が認められた。
(3)選定した試料からDNA抽出を行い、16S rDNA、18S rDNA遺伝子のシークエンスを行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度の前半は、コロナ禍による2021年度までの遅れを取り戻すことに費やしたため、その結果として、2022年度に計画していた研究が遅れている。これまでに、2021年度までの遅れはかなり取り戻すことができたが、その代わりに2022年度の計画に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

これまで主に北太平洋の試料を中心に研究を進めてきたが、そこから得られた結果と比較するために、今後は赤道や南大洋から採取された試料についても研究を進める。
昨年度までに行ってきた円石藻を対象とした研究では、Gephyrocapsa 属(旧Emiliania 属を含む)の円石藻が、形態群集解析とメタゲノム解析の両方においてもっとも頻繁に検出されている。研究の議論を考える上では、今後は、対象をGephyrocapsa 属により注目することが重要であると考えられる。
Gephyrocapsa 属の多様性と分類に関する研究は、ごく最近、Bendif et al. (2023) による多数の培養株を用いた研究によって、大きく変化した。本年度はメタゲノム解析において、このBendif et al. (2023)との比較可能な領域に焦点をしぼって、メタゲノム解析を進める。
パルマ藻に研究については、これまでに主に行ってきた寒冷環境由来の試料(主に南大洋とベーリング海産試料)の研究を継続することに加えて、温かい海域(主にメキシコ湾)の試料の解析も試みることにより、パルマ藻の群集組成と水塊環境の関係を明らかにする。
以上のように研究をすすめた上で、成果を公表するための論文執筆を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Marine phytoplankton biogeography before the recent global ocean warming2022

    • 著者名/発表者名
      Kyoko Hagino, Yurika Ujiie, Masao Iwai, Tatsuhiko Hoshino, Richard Jordan, Masayuki Utsunomiya, Yuichiro Tanaka, Jeremy Young, El Mahdi Bendif, Ian Probert
    • 学会等名
      18th International Nannoplankton Association
    • 国際学会
  • [学会発表] 温暖化以前の海洋微生物群集復元の試み -PCR発明前のフィルターからの環境DNA分析-2022

    • 著者名/発表者名
      星野辰彦、萩野恭子、氏家由利香
    • 学会等名
      環境DNA 学会オンラインワークショップ「あなたが主役のワークショップ」

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公開日: 2023-12-25  

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