研究課題/領域番号 |
20H04326
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
能田 淳 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (70551670)
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研究分担者 |
露口 一成 独立行政法人国立病院機構近畿中央呼吸器センター, 臨床研究センター, 感染症研究部長 (00359308)
御手洗 聡 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 抗酸菌部, 部長 (30501671)
森本 耕三 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 抗酸菌部 細菌科, 研究員 (40511879)
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
牧 輝弥 近畿大学, 理工学部, 教授 (70345601)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオエアロゾル / 非結核性抗酸菌症 / 大気汚染物質 / PM2.5 / 健康影響 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域ごとの大気環境中のPM2.5の化学的特性及び肺非結核抗酸菌症(肺NTM症)の地域特異性を把握することであり、粒子状物質中の化学成分と微生物の相互作用の把握を目的とする。肺NTM症の中でも90%を占めるMAC菌(Mycobacteruim intracellulareとMycobacterium avium)の割合において日本の南西部ではMycobacteruim intracellulareに罹患している患者が多く、これらと南西部で高い濃度であるPM2.5に着眼して進めている。具体的な大気環境中に存在する化学成分として、糖類、界面活性剤、煤などの有機物質とMAC菌との相互作用を捕集した大気エアロゾルサンプルにて検証を行っている。地上付近数十メートルでの測定を全国に分散する形で5拠点(札幌、東京、珠洲、堺市、福岡市)にて進めている。さらに、自由対流圏での拡散条件の把握を行うために、ヘリコプターなどを活用してサンプリングを進めている。解析においては、メタゲノム解析、化学成分の解析を分担、協力研究者らと進めている。 並行して、測定されたサンプルの解析結果を基に、大気中のバイオエアロゾルの挙動把握のため、実験室内で擬似大気チャンバーを活用してのシミュレーション実験を進めている。これまでの測定で検出された代表的な化学物質と細菌を含むバイオエアロゾルを混和した状態にて、乾燥、紫外線照射などのストレスが加わった際に細菌の活性保持に及ぼす影響の検証を行っている。これらの測定から、肺NTM症などの感染が起こりやすい状況をより明確にし、感染症に対応するために感染が起こりやすい状況の把握、それに備えた生活環境の整備に取り組むことは、予防医学的な対応として疾病問題の低減化への貢献に期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分担・協力研究者の多大な支援によって全国5拠点でのサンプリング体制が確立し、順調に測定が行えている。新型コロナウイルス対策の影響があったが、サンプル収集に追いつくことがほぼ出来た。また、各拠点組織には柔軟に対応していただき、一定のサンプル数が確保できている。しかし、当初の予定である季節変動についての調査においては各地点における季節ごとの解析にはサンプル数が不足している地域がある。今後は、既にMAC菌が検出されている地域を重点的に、より長期に渡り測定を実施していく必要がある。解析において、糖類、界面活性剤についは解析がある程度終了しているが、海外の協力研究者との大気汚染物質の化学イオン式質量分析装置の測定に遅れが出ている。測定機材の不具合が原因であったが、問題が解消しているので測定を進めていく。 アウトリーチ活動では2023年度のバイオエアロゾルシンポジウムにて本研究プロジェクトについて口頭で発表する機会を得ており、本研究についての一部情報共有、今後の研究活動に向けた議論の展開ができている。また、ここまでのデータの一部を国内外の学会にて発表を行うことを予定しており、本研究内容を広く知っていいただく機会と同時に、今後の新たな展開に向けたアドバイスをいただくことや、他の研究発表からのインスピレーションを大切にして、更なる研究の展開を推進していく。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスによるパンデミックの経験から柔軟に対応しつつ取り組んでいく研究体制の構築ができた点は今後の研究を推進する上で具体的な方策の確立となっている。このため、今後不測の事態が再度発生した場合でもサンプリングの継続は可能である。残りの期間を最大限活用して、不足しているサンプルの収集、が必要な場合は対応を進めていく。化学物質の解析のために訪問を予定しているスウェーデンの研究施設では機器の不具合が解消しており今年度中の再訪問、解析の見通しが立っている。 アウトリーチ活動として、論文の投稿による社会全体への情報発信の増強と併せ、本研究プロジェクトに係わるメンバーと連携して、議論の場や、新たな研究展開に向けたシンポジウムなどの開催を行っていきたい。この様な議論の場を出来るだけ多く作り、より意義のある研究を推進していく予定である。また、情報発信についても、様々な手法を活用し、更なる情報の共有を心掛ける。より多くの方々に、本研究についての理解を深めていただくと共に、感染症対策のための情報提供が出来る様に努力する。
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