研究課題/領域番号 |
20H04327
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
大藪 幾美 国立極地研究所, 先端研究推進系, 特任研究員 (20758396)
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研究分担者 |
川村 賢二 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (90431478)
青木 周司 東北大学, 理学研究科, 学術研究員 (00183129)
森本 真司 東北大学, 理学研究科, 教授 (30270424)
阿部 彩子 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30272537)
吉森 正和 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20466874)
大石 龍太 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (90436600)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メタン / 氷床コア / グリーンランド / 完新世 / 南北差 / ボックスモデル |
研究実績の概要 |
・データ取得 2022年度はグリーンランドのNEEM氷床コアの過去1万年間のメタン濃度のデータセットを完成させた。割れやクラックが多く氷の質が悪い深度帯(ブリットルゾーン)の試料で高濃度が検出された深度については、残りの試料で再測定を行った。また、南極のドームふじ氷床コアからCH4濃度, N2O濃度, CO2濃度, δ15N-N2, δ18O-O2, δO2/N2, δAr/N2, 空気含有量のデータを取得し、全試料数の8割程度(214試料)の測定を行った。
・年代統合と南北差の計算 まず、メタン濃度の南北差を正確に計算するため、両極コアの年代軸を完新世の年代が最も正確である西南極のWAIS Divideコアに統合する作業を行った。南極内陸は涵養量が小さいため、ドームふじコアの気泡に封じられる空気はWAIS Divideコアのそれよりも大きな年代幅を持つ。そのため、先行研究で求められたドームふじコアの気泡の年代分布を用いて、WAIS Divideコアのメタン濃度にスムージングをかけ、ドームふじコアのメタン濃度と同程度の解像度にした。このデータセットを用いて、メタン濃度の特徴的な変化をマッチングさせ年代同期を行った。NEEMコアの気泡の年代分布はWAIS Divideコアと同程度であるため、取得したデータを直接用いてWAIS Divideの年代と同期させた。 次に、ドームふじの気泡の年代分布を用いてNEEMコアのメタン濃度にスムージングをかけ、ドームふじコアのメタン濃度と同程度の解像度にし、ドームふじコアのメタン濃度との差(南北差)を計算した。その結果、先行研究と整合的な南北差を得た。具体的には、5000年前の南北差が最も大きく、完新世後期に向かって南北差は小さくなったことが明らかとなった。さらに、南北半球間のメタン収支を調べるためのボックスモデルの構築に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた通り、NEEMコアのメタン濃度データセットを完成させた共に、ドームふじ氷床コアのメタン濃度データの8割を取得を終えた。また、予備的な解析として、NEEMコアとドームふじコアの年代軸を、西南極のWAIS Divideコアの年代軸に統合し、南北差を計算したほか、先行研究を参考に、ボックスモデルの構築に着手しており、計画が順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ドームふじコアの気体データの取得を完了させ、最終データセットを用いてWAIS Divideコアの年代に統合する。グリーランドコアについては、他の研究機関が取得したNEEMコア以外ののメタン濃度のデータが公開されているため、本研究で取得したNEEMコアのメタン濃度と合わせ、より時間分解能の高いコンポジットデータを作成し、南北差の計算を行う。その後、構築したボックスモデルを用い、完新世のメタン濃度の変動要因を考察する。
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