研究課題/領域番号 |
20H04342
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古武 弥一郎 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20335649)
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研究分担者 |
佐能 正剛 和歌山県立医科大学, 薬学部, 准教授 (00552267)
宮良 政嗣 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (60816346)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 核呼吸因子-1 / 毒性評価系 |
研究実績の概要 |
昨年度までに確立したNRF-1レポーター細胞を用いて、本年度は各種化学物質の評価を行った。 本プラスミドではEGFPの蛍光をレポーターとしてNRF-1活性をモニターできるため、他の蛍光との同時検出も可能である。そこで、今回は、核染色剤であるHoechst 33342と死細胞染色色素であるPropidium Iodide(PI)の共染色を併用し、NRF-1活性(蛍光活性)とPI陽性率の同時測定を行った。既知のNRF-1阻害物質であるトリブチルスズ (TBT) を曝露しNRF-1活性(蛍光活性)とPI陽性率の用量反応曲線を作成した。その結果本評価系においても、これまでにわれわれが報告しているのと同様に、TBT曝露で細胞死が起こらない濃度からNRF-1活性低下が確認された。 さらに多数の化学物質を効率よくスクリーニングを行うため、High Content Screening装置であるOpera Phenix(Perkin Elmer)を用いてアッセイの自動化高速化を行った。Opera Phenix用に最適化された条件を用いて、われわれが見出したラット初代神経細胞においてGluA2発現減少を引き起こす化学物質の中からNRF-1活性低下物質を探索した。その結果、メトキシクロル、PCP、ファモキサドンの3化合物の曝露において、細胞死が起こらない濃度からNRF-1活性低下が確認された。一方、PFOSのようにNRF-1活性低下が細胞死と同時に起きる物質も認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ハイコンテントスクリーニングにより、多数の化学物質から効率的にNRF-1活性低下物質を探索でき、細胞死などとの濃度関係を調べられるようになったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらにN-Rep細胞を用いてNRF-1活性低下物質の探索を行うとともに、これらの物質が実験動物 (in vivo) においてもNRF-1活性低下を引き起こすのか、またin vivoにおいてNRF-1活性低下に基づいた毒性を引き起こすのかについて調べ、NRF-1低下が化学物質の毒性評価指標として有用であるかを検証する。
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