研究課題
本研究では、女性ホルモンであるエストロゲンに類似した活性を有する化学物質の影響評価を細胞レベルで行うために必要なエストロゲンシグナルカスケードの全体像を解明し、さらに、そのカスケードに関与するシグナルタンパク質について細胞機能を明らかにし、さらに様々な化学物質の影響評価に利用するための基礎を構築することを目的とする。そのために、本研究では最新のゲノム解析技術のうちRNA-seq法とゲノム編集技術を利用し、エストロゲン受容体をノックアウトした細胞を作製してRNA-seq法により様々な天然化合物や合成化合物に対する遺伝子発現解析を行う。さらに、得られた情報をより複雑な天然及び合成化合物を用いて検証する。本年度は計画の最終年として以下の項目を実施した。(1)遺伝子発現プロファイル解析によるエストロゲンシグナルカスケードの解析:本項目では、緑茶とショウガの成分でもあるフラボノイドのエストロゲン活性に関する情報をもとに代表的な化合物(ダイゼインやゲニステインなど)についてRNA-seq解析をまとめた(論文発表完了・前年度特許出願)。(2)ゲノム編集技術を利用したエストロゲンシグナルカスケードの検証:本項目ではゲノム編集技術によりエストロゲン受容体をノックアウトしたMCF-7細胞の作成をほぼ完成した。解析については継続して行う予定である。(3)エストロゲンシグナルカスケードの解析による新規エストロゲン応答タンパク質の探索:本項目では(1)項のRNA-seq解析をもとに新規エストロゲン応答遺伝子を選択し、リアルタイムRT-PCR法による検証と、データベースを利用した機能解析を実施した。成果は論文として発表した。(4)天然及び合成化合物を用いたエストロゲンシグナルカスケードの検証:本項目では(1)項に基づいて合成化合物の解析と並行して天然化合物に関する解析結果を終了し、論文発表を行った。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Nutritional Biochemistry
巻: 114 ページ: 109250~109250
10.1016/j.jnutbio.2022.109250
PLOS ONE
巻: 17 ページ: e0273164
10.1371/journal.pone.0273164