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2021 年度 実績報告書

マイクロプラスチックに起因する細胞影響とそのメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H04344
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

堀江 祐範  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (30514591)

研究分担者 加藤 晴久  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (10462839)
田部井 陽介  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40555083)
小川 道永  国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (80361624)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードポリウレタン / ポリ乳酸 / サイトカイン
研究実績の概要

前年度までの検討により、1種類のポリウレタン粒子により、IL-8の産生が認められた。そこで、各粒子の重量濃度をそろえて、さらに濃度依存性と潜在的な細胞応答を確認した。IL-8の発現が認められたことから、特に炎症マーカーに着目して遺伝子発現を中心に評価を行った。2種類のポリウレタン粒子及び2種類のポリ乳酸粒子を、ケラチノサイト由来HaCaT細胞および大腸上皮様細胞Caco-2に、1000, 100, 10 μg/mlの濃度で投与し、24時間後に細胞応答を評価した。HaCaT細胞では、1000 μg/mlの高濃度(粒子が細胞上に堆積しており、オーバードーズと考えられる)でも、細胞生存率の低下や細胞膜の損傷は認められなかった。酸化ストレス応答タンパク質であるHO-1の遺伝子発現は、100 μg/mgで1.3倍程度の上昇が認められたが、細胞内ROSレベルの上昇は認められなかった。IL-8は、ポリウレタン粒子で1000 μg/mlの高濃度のとき、2倍程度の遺伝子発現の上昇が認められた。また、ポリ乳酸粒子でも濃度1000 μg/mlにおいて、遺伝子発現の上昇が認められた。Caco-2ではサイトカインの上昇は認められなかった。また、IL-6の発現に対する影響は認められなかった。これらの結果から、ケラチノサイト及び上皮細胞では、ポリウレタンによる細胞影響として、IL-8の発現を促進することが認められた。また、ポリ乳酸についても高濃度下においてIL-8の発現を誘導すると考えられた。ポリウレタンおよびポリ乳酸による細胞影響として、IL-8の誘導が認められたが、IL-6などその他のサイトカインに対する影響は小さく、また酸化ストレスの誘導も生じないと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に引き続き、ポリウレタンおよびポリ乳酸粒子について、ケラチノサイトと腸管上皮細胞の潜在的な細胞応答を評価し、細胞生存率の低下や細胞膜の損傷といった細胞毒性や酸化ストレスの誘導については、顕著な影響を示さないことを確認することができた。いっぽうで、これらの粒子がまったく細胞影響を示さないということは無く、IL-8の誘導を引き起こすことを遺伝子発現の面からも確認した。これらの結果から、ケラチノサイトおよび腸管上皮細胞についての潜在的影響を把握することができた。

今後の研究の推進方策

今年度までの検討により、ポリウレタン粒子および生分解性粒子として多く利用されているポリ乳酸粒子の、ケラチノサイトおよび腸管上皮細胞に対する潜在的な影響を把握した。前年度までの検討で、マクロファージでもIL-8お誘導が認められていることから、今後はマクロファージに対する影響をより詳細に検討する。特に炎症誘導能についてIL-8以外のサイトカインの産生を評価するとともに、ケラチノサイトなどほかの細胞との相互作用にについても評価を進める。

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公開日: 2023-12-25  

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