研究実績の概要 |
本課題2年目は試料収集・調製、スクリーニング、焼却試験、定量分析に関わる項目をそれぞれ拡充し、研究を展開した。1年目に収集した代表的なプラスチックに加えて、構造や用途などの特徴に着目して塩素フリーなプラスチック10種類(PE, PP, PS, PET, PC, PVAL, PA66, PLA, PF, PTFE)および塩素含有プラスチック2種類(PVC, PVDC)を系統的な実験対象とした。磁化インパクターを備える凍結粉砕機を用いて、プラスチックの種類に応じて最適に粉砕した。また、TG-DTAによる熱物性評価などを行い、物理化学的特性に関わるデータを整備した。焼却試験に関して、対象とする模擬廃棄物の組成(プラスチック、ハロゲン源、重金属など)および運転条件(温度、滞留時間、反応ガス)から、評価に適切な組み合わせで焼却試験を行った。塩素源は、廃棄物に通常含まれる無機塩であるNaClを基本として用いた。重金属は、銅(Cu)を主に使用した。対象有機ハロゲン化合物(特にPCDD/Fs, PCBs, Cl-PAHs)およびPAHsを、分析法の検討・確立し、研究組織によるチームワークで定量分析し、定量可能な化合物に関するデータを得た。同族体の多次元データを視覚的に解釈できるように統計的な解析についても研究を展開した。 プラスチックの違いによるダイオキシン類発生量を、残留性有機汚染物質に関する国際学会(Dioxin 2021 - 41st International Symposium on Halogenated Persistent Organic Pollutants)で報告したところ、当該分野における優れた発表としてOtto Hutzinger Student Awardを受賞した。ハロゲン化PAHsの分析に関する共同研究者による研究が進展し、招待講演などで成果を公表した。
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