最終年度である本年度は、これまでの成果をとりまとめるとともに、これまで採取してきた土壌試料に含まれるマイクロプラスチックの分析を進めることで、土地利用と汚染度の関係や、景観レベルでの濃度分布を明らかにすることができた。加えて、研究課題/領域番号21H02086と連携することで、日本国内の農耕地におけるマイクロプラスチックの濃度や起源などの汚染実態を明らかにした。 また、本年度はマイクロプラスチックの分析手法についても新たに検討を行った。これまで本研究では密度分離によりマイクロプラスチックを土壌から分離した後、顕微FTIRを用いてマイクロプラスチックの定性・定量分析を行ってきた(Katsumi et al. 2022)。しかし、この手法は前処理に時間と手間がかかるうえに、適用することができない試料もある(特に、有機物が多い土壌やリター層)。一方、当研究室では熱分解GC/MSや高速溶媒抽出装置を使用できる環境となったため、それらを用いたマイクロプラスチックのハイスループット分析手法や、マイクロプラスチックに含まれる添加剤の分析手法の検討を実施することができた。今後、これらの手法を用いることでさらなる知見の集積が期待される。
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