研究課題
令和4年度は、電子産業で多量に用いられているモノエタノールアミン(MEA)を含有する廃水の上向流嫌気性汚泥床法(UASB)による連続処理試験を常温条件下(18-20℃)で実施し、廃水に含まれるMEAと硫酸塩の濃度増加が廃水処理特性や保持グラニュール汚泥の物理的な性状と微生物学的な特性に及ぼす影響を評価した。汚泥を順応させるために、流入廃水中の MEA の混合割合をCOD比(流入COD 1,500 mg/Lに対し)で 15% から 100% に段階的に増加させたが、MEA割合の増加にもかかわらずCOD除去率は95%と高く維持された。電子産業廃水には硫酸塩が比較的高濃度で含まれる事が知られているため、次いで廃水の硫酸塩濃度を20 mgSO4/L から 330 mgSO4/Lに増加させた。その結果、COD除去率は95%と高く維持されるが、保持汚泥の沈降性の悪化、粒径の減少が観察された。保持汚泥のメタン生成活性、硫酸塩還元活性の測定の結果、廃水の硫酸塩濃度の増加に伴い硫酸塩還元活性の増加(硫酸塩還元細菌の集積化)が確認された。MEAの分解産物として酢酸、プロピオン酸が確認され、硫酸塩還元細菌はMEAの分解に直接寄与せず、主にプロピオン酸及びMEAや低級脂肪酸の分解過程で生じる水素の除去者として作用する事が分かった。また、昨年度分離した水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を単独で分解可能な新規メタン生成古細菌株について対数増殖期、減速期、定常期それぞれの培養液から菌体のRNAを回収し、次世代シークエンス解析による網羅的な比較発現解析を行い、TMAHの分解に関与する遺伝子の探索を行った。その結果、対数増殖期で発現量が高かった遺伝子は減速期、定常期を経過することにつれ減少することが判明した。これにより、対数増殖期での比較遺伝子発現がTMAH分解機構の解明に繋がる事が示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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