研究課題/領域番号 |
20H04370
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内藤 牧男 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (40346135)
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研究分担者 |
小澤 隆弘 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (40734158)
石川 敏弘 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学研究科, 教授 (60756104)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 省エネルギー / セラミックス / 蛍光体 / 白色LED / 粉体 |
研究実績の概要 |
窒化ケイ素(Si3N4)にAlとOが固溶した白色LED用サイアロン蛍光体(Ca-α-SiAlON:Eu2+)をモデル例として、現状の窒素加圧下、超高温での合成に対して、大気圧条件下非加熱での合成プロセスを開発する。 申請者は、還元性雰囲気下で1500℃以上の高温焼成によって合成される酸化物蛍光体YAG:Ce3+ (Y2.97Al5O12:Ce3+0.03)に対して、合成温度を下げる融剤を原料粉体に微量添加し、粒子界面に摩擦による機械的作用を集中的に与えるだけで、大気圧条件下、非加熱でのYAG:Ce3+ 粒子合成の可能性を示した。そこで本提案では、第一ステップとして、強力な圧縮・摩擦作用を粒子に与える非加熱プロセスによって、融剤を使用せずにYAG:Ce3+蛍光体を合成できる条件の探索を行った。 本研究に着手するにあたり、まず蛍光体粒子の合成プロセスを解析するための非加熱粒子合成装置を試作した。申請者が発案した機械的粒子合成手法を基礎として、原料粉体に作用する機械的条件、さらには処理雰囲気をそれぞれ制御可能な構造を有する新規装置を設計した。この装置では、容器に投入された粉体原料には、高速で回転する楕円ローターとその反対方向に回転する処理容器によって、圧縮・摩擦作用を主とする機械的作用が集中的に粉体原料に与えられる構造とした。さらに、粉末X線回折装置を導入し、非加熱粒子合成装置によって処理された粒子に対して、迅速に結晶構造を評価する研究基盤を整備した。 その結果、Alの酸化物と水酸化物を含む原料粉体を、粒子合成装置によって処理することにより、メカノケミカル反応が誘起され、融剤粒子を用いることなく、非加熱でYAG:Ce3+粒子を合成できることを実験的に見出した。また、合成された粒子は、比較的良好な蛍光特性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に着手するにあたり、本年度は、蛍光体粒子の合成プロセスを解析するための非加熱粒子合成装置を試作した。申請者が発案した機械的粒子合成手法を基礎として、原料粉体に作用する機械的条件、さらには処理雰囲気をそれぞれ制御可能な構造を有する新規装置を設計した。この装置では、容器に投入される粉体原料には、高速で回転する楕円ローターとその反対方向に回転する処理容器によって、圧縮・摩擦作用を主とする機械的作用が集中的に粉体原料に与えられる構造とした。さらに、粉末X線回折装置を導入し、非加熱粒子合成装置によって処理された粒子に対して、迅速に結晶構造を評価する研究基盤を整備した。以上の実施成果は、いずれも当初の計画通りに進んでいるものと評価される。 次に、これらの実験設備を基礎として、強力な圧縮・摩擦作用を粒子に与える非加熱プロセスによって、融剤を使用せずにYAG:Ce3+蛍光体を合成できる条件の探索を行った。 種々の検討を試みた結果、原料粉体としてAlの酸化物と水酸化物を、適度の配合割合で処理することにより、メカノケミカル反応が誘起され、融剤粒子を用いることなく、非加熱でYAG:Ce3+粒子が合成できることを実験的に見出した。また、合成された粒子は、比較的良好な蛍光特性を示した。以上の成果は、本年度の目標としていたものであり、当初の計画通りの研究成果を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究実績を踏まえ、粒子界面に局所的な高温状態と高圧状態が作用すると報告されている本技術の特徴を活かして、窒素加圧が必要なサイアロン蛍光体の大気圧条件下非加熱での合成プロセスの開発を目指す。具体的には、原料粉体の種類、特性や添加割合、機械的作用、処理時間、処理雰囲気等の因子が、合成される粒子の結晶相、粒子構造、蛍光特性等に及ぼす影響を系統的に把握する。 これらの結果に対して、申請者が既往の研究で報告した機械的処理時に粒子界面で発生する局所的温度上昇の推定結果を導入して、合成プロセスを解析する。さらに、離散要素法を用いて、粒子群の運動状態や粒子間に作用する力とその頻度を推算した結果を導入することにより、ミクロな観点から粒子の合成プロセスや粒成長過程等の解析を試みる。なお、大気圧下の非加熱条件だけで合成が困難な場合、処理後の粒子に窒素加圧下等の加熱処理を行い、大気圧条件下での合成に必要な条件を探索する。 本研究は、研究代表者(内藤牧男・大阪大学教授)の下、小澤隆弘(大阪大学・助教)が原料粉体、合成粒子、蛍光体等の特性評価を担当する。さらに、石川敏弘(山口東京理科大学教授)が、非加熱による粒子合成メカニズムの解析を担当する。
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