研究課題
海鳥を対象とした繁殖期における親鳥の栄養状態と子への繁殖努力量を双方向に変化させる手法として,人工給餌と羽先端切除実験を実施するやり方で,実験個体に繁殖を放棄させることなく繁殖コストに応じたキャリーオーバー効果を検証する実験系を確立することができた。ミツユビカモメの成鳥に2021年から2022年にかけて合計260個のジオロケータを装着し、2023年に186個のジオロケータを回収した。ジオロケータ回収の際に、捕獲した個体から血液2mlと頭羽15枚程度を採取し、外部計測を行った。ミツユビカモメの成鳥15個体にビデオロガーを装着した。そのうち2個体はビデオロガーと同時にGPSロガーも装着した。本実験の研究成果として,繁殖投資量が高い群ではコントール群や繁殖投資量が低い群と比べて繁殖期間が長くなり,繁殖後の秋季渡りへの出発が遅くなること,渡り時期における活動量が高くなることがわかった。これは繁殖投資量が高くなると親鳥は柔軟に繁殖期間を延長しており,さらに渡り時期には体力回復のためにより多くの時間採餌に費やしたことによる可能性がある。さらに,渡り期に繁殖地からの最大到達距離が長かった個体ほど,翌年の繁殖成績が良いことがわかり,渡り距離とその後の繁殖成績に関連があること,生態学的キャリーオーバー効果として繁殖期の負債を非繁殖期の行動を通じて翌年の繁殖成績にまで影響を及ぼしていることを検証することができた。繁殖コストが高くなることで繁殖期間が長くなった結果,より条件の良い越冬地ではなく,繁殖地近海で過ごすなどした結果が翌年の繁殖成績に影響したことが示唆された。映像データから人為的影響が海鳥に及ぼす影響評価については漁船に接近するなどの行動は残念ながら得られなかったが,採餌行動は測定することができ,一定の成果は得られた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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