研究課題/領域番号 |
20H04377
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
瀧 健太郎 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (60805620)
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研究分担者 |
原田 守啓 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (00647042)
田中 耕司 大阪工業大学, 工学部, 教授 (50817385)
堀 智晴 京都大学, 防災研究所, 教授 (20190225)
永山 滋也 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 研究員 (70540558)
吉田 丈人 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (40447321)
山田 由美 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 研究員 (00365496)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 霞堤 / 遊水地 / 減災効果 / 数値解析 / 河川との連続性 / 魚類分布 / EcoDRR / 流域治水 |
研究実績の概要 |
当初研究対象の5河川(姉川、安曇川、北川、長良川、由良川)に加えて、令和2年7月豪雨で被災した球磨川における一体型モデル(降雨~流出~流下~氾濫の一連のプロセスを一体的に解析可能な水理モデル)の開発・改良を進めた。 安曇川・北川での解析結果から、霞堤群の有する機能を、①河川水位の低減効果,②パイピング緩和効果,③貯留効果,④氾濫流・内水排除効果,⑤氾濫域限定効果,⑥氾濫流速抑制効果の6つに分類し、それぞれ定量的に評価する方法論を確立した。また、球磨川の解析結果から、集水域・氾濫域にある農業幹線水路が、周辺の氾濫特性や支川・本川の水位変化に一定の影響を与えることを確認することができた。この他,長良川・姉川では、d4PDF領域気候モデルを用いた流出解析を実施し、2度上昇・4度上昇シナリオ時の河川流量の変化を明らかにした。 また、最適形状・配置を検討するための準備として、配置・形状による配置・形状による減災効果の違いについて、数値実験を通じてパターン別(河床勾配・氾濫域勾配、霞堤不連続部の開口部幅・控堤高・角度・長さ別)に整理した。 氾濫水理特性と氾濫原生態系との関連性を検討するための準備として、滋賀県内に現存する霞堤遊水地(堤内遊水地)を、①河川・水路の連続性(横断連続性)、②圃場整備の有無に着目して分類し、魚類生物調査を実施した(姉川、安曇川、大戸川、日野川)。横断連続性が高い遊水地では流水性・クリーク性・止水性の魚類が混在しており、魚類群集の多様度(NMDS指数)が高い傾向が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
着手からの2年間で、EcoDRR性能評価用の氾濫解析モデルが有すべき機能を整理し、研究対象河川他において概ね要求条件を満たすモデルを構築することができた。また、霞堤群の減災効果を定量化について一般に適用可能な方法論も確立することができた。 一方、研究着手後に調査対象河川での比較的大きな出水がなかったため、出水後の生物相調査ができていないことから氾濫原生態系の適地推定モデルの検討に若干の遅れがある(出水後データない状態でも適地推定する方法は並行して検討)。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には,これまでの開発した氾濫水理モデルを利用し、水害防備林や田んぼダムなど他のEcoDRR施設の減災効果の計量も試みる。また、過年度調査で得た氾濫原生物の分布情報と頻度別氾濫水理諸量、その他の物理環境データ(土地利用、地形特性・地質、湧水の有無、日照時間など)との関係を機械学習により把握する(適地推定モデルの構築)。年度後半には,EcoDRR施設群の形状や配置によって、防災・減災機能および氾濫原生態系がどのように変化するのかを予測する方法論の検討に着手する。 2023年度(最終年度)には、それまでの研究成果を活用し、EcoDRR施設群の最適な(減災効果・生態系保全効果を最大限発揮する)形状・配置を探索する手法を検討する。
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