研究課題
氷期の東アジアは多くの常緑・落葉広葉樹が南の温暖な地域に逃避できたために現在も種多様性が高く、北米大陸東部では氷河、地形、気候などの複合的な要因が広葉樹、特に常緑広葉樹の南下を妨げたために多種が絶滅し、現在もその影響が残っているという仮説を検証するために、本研究では第四紀の気候変動にともなう温帯樹種の分布変化をモデルで推定し、種多様性の形成過程を東アジアと北米大陸間で比較・解明することを目的とする。気候温暖化の生態系への影響検出を目標に、自然林のエコトーンでドローンによる空中写真撮影を行った。オルソ画像で樹冠分布図を作成し、各樹冠の樹種判定を行う技術開発を行った。北海道のブナ北限域で行った試験では、出現8樹種の的中度が、0.91~1.00であった。森林生態系への気候変動影響評価の研究レビューを行った。森林の分布変化を機械学習モデルによって予測する研究は1990年代に始まり、2000年初頭から活発に行われ、2010年代以降は多様な生物種や生態系機能に関する影響評価研究が増加し、地理的には山域レベルからグローバルレベルまで多様なスケールで多くの研究がなされ、時間的には過去数万年にわたる超長期の気候変動影響評価から100年スケールの将来予測研究まで、多様な研究が過去十数年間で発展したことが明らかになった。東アジアの常緑広葉樹で絶滅危惧種でもあるDipentodon sinicus(Dipentodon科)について、氷期から間氷期に至る分布変遷を推定し、今後の気候変動条件下における脆弱性を評価するために、分布予測モデルを構築して生育生育域を推定した。その結果、D. sinicusは最終氷期に雲南省を中心に広く生育していたが、完新世中期に山岳域の高標高地域に分布が縮小し、今後の気候変動により今世紀後半には生育適地はさらに減少すると予測された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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環境情報科学
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