研究課題/領域番号 |
20H04391
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70272367)
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研究分担者 |
風間 しのぶ 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20749444)
大瀧 友里奈 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50422382)
本田 秀仁 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (60452017)
中久保 豊彦 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (70648766)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | On Site Sanitation / PMMoV / 土壌からのウイルス抽出 / 住民の行動変容 / 情報提供 |
研究実績の概要 |
下水道システムに頼らない個別分散型生活排水処理であるOSS(On Site Sanitation)について途上国のケーススタディとしてスリランカ国南部およびその発展型のケーススタディとしてベトナム国ホーチミン市を対象とし,以下のように科学技術的および社会科学的の両側面から研究を遂行した. 1)科学技術的側面 ホーチミン市においてはOSS流出水および放流先河川中の糞便由来特異性の高いPMMoVをウイルス指標として測定した結果,微生物負荷についてはOSSからの流出が周囲水環境の主影響因であることが示された.スリランカ国南部においてはOSS周囲の土壌からのPMMoVの検出測定法を検討し,現地で実行可能な抽出法を確立した.現地の土壌サンプルについて抽出法を適用し,PMMoV検出を行った結果,検出限界濃度をさらに低くする改良の必要性があるものの,土壌からの検出が可能であることが示された.また現地のOSS周辺土壌数か所における糞便由来ウイルスの存在状況を把握することができた 2)社会科学的側面 ホーチミン市においてOSSについての現地住民の現状認識やニーズを把握するためのアンケートおよびインタビュー調査を実施した.住民における使用OSSについての認識は高く,どのタイプが使用されいてるか良く把握されている一方で,汚泥引き抜きなどの維持管理についてはほとんど行われていないことがわかった.主な理由は使用面での問題がなく,維持管理の必要性が感じられないということであった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ事由およびスリランカの経済危機のため,実行年度を繰り延べして行ったが,実行できなかった間に現地の共同研究先とオンライン会議を密に行い,情報交換を維持できた結果,準備を十分にすることができ,現地での試料サンプリングおよび分析,また住民へのインタビュー調査を滞りなく行うことできた.ただし土壌からの抽出方法については現地土壌に適用した結果,思うような抽出率が得られなかったため,何らかの改良が必要であるなど,一部に予定通りに進まなかった事項もあった.以上から,おおむね順調に進展していると判断した
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今後の研究の推進方策 |
科学技術的側面においては,当初の予定通り,現地でのOSS周辺の土壌サンプルおよび周囲環境水サンプルからのPMMoV測定を行い,OSSおよびOSS後の糞便由来ウイルスの挙動を把握する.ただ土壌サンプルについてはウイルス抽出と濃縮方法の検討が必要であるため,まずその点について改良を加えた後に,サンプル採取と分析を行う. 社会科学的側面については,主にホーチミン市においてOSSの維持管理が行われないという結果を基に住民に関するインタビュー調査を通して,自らの生活排水からの負荷と周囲環境水の状況とがリンクしているのか,リンクさせるにはどうすれば良いのか,などを検討する.
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