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2020 年度 実績報告書

気候変動2050年目標に向けたビジネス行動促進のための国際枠組みの設計

研究課題

研究課題/領域番号 20H04395
研究機関福岡大学

研究代表者

堀 史郎  福岡大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10532814)

研究分担者 渡邉 智明  福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (00404088)
杉山 昌広  東京大学, 未来ビジョン研究センター, 准教授 (20503428)
藤田 敏之  九州大学, 経済学研究院, 教授 (30297618)
近藤 加代子  九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (70221984)
高村 ゆかり  東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (70303518)
早渕 百合子  九州大学, グローバルイノベーションセンター, 准教授 (30469746)
野方 大輔  佐賀大学, 経済学部, 准教授 (20614621)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード気候変動 / 企業戦略 / シナリオ分析 / 国際枠組み / 取締役会
研究実績の概要

ビジネスにおける気候変動に関する情報開示シナリオ分析について、食品企業における統合報告書等を調査して、各社の状況を調査した。その結果、中堅企業においてはまだシナリオ分析には十分取り組めていないことが多いこと、シナリオ分析の結果は各社によって異なること、気候変動機会について、まだ十分検討されていないことが分かった。この理由として、シナリオ分析が担当部の検討にとどまっており、全社的な協力を得るのが難しいことが明らかになった。対して、海外企業においては、機会としてビジネスチャンスの検討が多様になされていた。また、TCFDで推奨されているシナリオと、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や統合評価の文献などで利用されているシナリオと比較した。その結果、TCFDなどでは4℃や2℃シナリオや国際エネルギー機関のシナリオなど、一部の限られたシナリオが推奨されており、不確実性が過小評価されていることが明らかになった。また、企業の気候変動戦略における取締役会の分析の結果、女性役員の存在によってさまざまな気候変動戦略の策定にポジティブな影響を与えるとことが確認された。
気候変動における国際枠組みの分析については、気候変動における民間認証、規格の可能性に関連して、理論的枠組みを中心に考察を行った。気候変動以外の分野における民間認証に対する政府を含む公的アクターがいかなる態度、戦略を採用するかについて、近年の理論的な分析枠組みを考察した。民間規格・認証間の「競合」、「断片化」について、公的なアクターによる関与、私的ガヴァナンスの市場の断片化が生じる問題を解決できる程度という2つの変数の相互作用の中で生じる仮説について示唆を得た。
また、企業行動の分析として、ガス小売市場における家計のスイッチング行動の決定要因の検証、プラスチックリサイクルに関する企業行動の調査を行い、企業行動を促進する示唆を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

各社の統合報告書や年次報告書の分析を行い、気候変動開示の対応方針の傾向や内外の方針の違いを掴むことができており、次年度に対する研究方針を定めることが可能となった。他方コロナ禍において、海外出張ができなかったため、海外との研究協議が中止となり、次年度に繰り越した。

今後の研究の推進方策

食品産業においての情報公開やシナリオ分析の現状と課題を明らかになったので、次年度には、他の業種における情報公開やシナリオ分析の状況を検討する。また、今後、TCFDのより広い枠組み(ガバナンス、シナリオ分析、リスク評価、指標)に立ち返った上でシナリオの位置づけについて考える必要性がある。ビジネスにとってどのようなシナリオが望ましいかについて検討を進めることにする。国際枠組みに関しては、規格、認証の多様性と企業行動について次年度以降に検討する。役員の役割については、逆の因果の問題を考慮した追加分析を行う等して、同様の結果が得られるかを確認する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] “Factors promoting business strategies, activities, and long-term commitments for climate change mitigation: A survey of Japanese enterprises”2021

    • 著者名/発表者名
      Shiro Hori, Daisuke Nogata, Yuriko Hayabuchi, Kayoko Kondo.
    • 雑誌名

      Climate Policy, 2021.

      巻: ー ページ: ー

    • DOI

      10.1016/j.jup.2022.101377

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「書評 ステファン・レンケンス著『私的ガヴァナンスと公的権威―グロー バル経済における持続可能性を制御する』」2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉智明
    • 雑誌名

      『政治研究』

      巻: 68 ページ: 85-92

  • [学会発表] 役員の多様性は気候変動行動に影響するのか?:性別,国籍,世代の多様性の観点から2021

    • 著者名/発表者名
      野方大輔・早渕百合子・堀史郎
    • 学会等名
      環境経済・政策学会2021年大会企画セッション:2050 年気候変動目標に向けた不確実性の中での企業行動の在り方,
  • [学会発表] 日本の長期気候政策の評価2020

    • 著者名/発表者名
      杉山昌広, 藤森真一郎, 和田謙一, 加藤悦史, 小宮山涼一, 松尾雄司, 大城賢, HERRAN Diego Silva .
    • 学会等名
      EMF 35 JMIP プロジェクト
  • [学会・シンポジウム開催] Modeling insights for Japan net-zero emissions target. ANU Crawford School of Public Policy Japan’s 2050 Net zero target Is it a big deal?2020

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公開日: 2022-12-28  

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