研究課題/領域番号 |
20H04399
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50313010)
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研究分担者 |
峯 陽一 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (30257589)
高橋 基樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (30273808)
黒田 一雄 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (70294600)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アジア・アフリカ / 開発学 / ODA / 開発概念 / 翻訳 |
研究実績の概要 |
コロナの影響で当初予定していた現地調査に基づく研究が全く実施できなかったが、それでも文献調査に基づく研究と、隔月で定期的に実施してきた研究会(ODAの歴史と未来)の開催、研究会の内容のHPでの公開を実施した。また最終年度の成果発表に向けて、英文刊行の企画書を完成させ、現在、出版社と出版交渉を行っている。具体的には、「アジア・アフリカの開発学」を構想するにあたり、まずは日本の開発業界で広く用いられてきた実践にかかわる概念(e.g., 人づくり、現場主義、内発的発展、土木、国際貢献、人間の安全保障など)が英語に翻訳しにくい理由を考察しつつ、英語圏の人々に説明する書籍を企画した。日本の開発学では、アドボカシー、コミュニティー、エンパワーメントなど、外来語の氾濫が見られるものの、日本語として流通してきた上記の開発概念の批判的検討はなされてこなかった。これらの日本的概念の批判的研究は英語でとりまとめるだけでなく、2023年度の『東洋文化』に特集枠を確保し、日本語のオーディエンスに向けても成果を発信していく予定である。 なお、分担者の個別研究については、代表者の佐藤仁が2021年7月に単著『開発協力のつくられ方』(東京大学出版会)を上梓した。この書籍は東南アジアにおける日本の援助実践を歴史的に振り返りながら、日本の集団主義に基づく援助が欧米のそれとどのように異なる特徴をもつのかを解明し、「アジアの開発学」の土台となる基礎研究としてとりまとめたものである。分担者らによる単著・単独論文は、2022年度から続々と出版されていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の出張計画は実施できないままとなったが、研究会の定期開催と出版の面ではそれなりの進捗がみられたので、おおむね順調、と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、英文出版のための出版社を確定すると同時に、原稿の収集・編集を行い、出版の具体的な見通しを立てることを目標とする。また定例研究会は、これまで通りのペースで開催を維持し、途中の成果を国際開発学会で発表する予定(2022年6月18日)ですでにエントリーしている。
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