研究課題/領域番号 |
20H04401
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西前 出 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80346098)
|
研究分担者 |
淺野 悟史 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (10747869)
時任 美乃理 京都大学, 地球環境学堂, 特定助教 (20824220)
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 地域実装 / 地域活性化 / 地域資源利用 |
研究実績の概要 |
本年度は,プロジェクト2年目として国内対象地においては現地調査を重点的に行い,現地での住民への聞き取り調査,地方行政担当者と議論する場を設け,現地ネットワークの拡充を推進し,および,相互の信頼関係を強固なものとした。同時に,現地において社会経済データ,衛星画像データ等の分析に供するデータを収集し,GIS上にて一元管理を行い,データベース構築を実施し,一部,定量的な分析を開始した。 海外渡航は新型コロナ感染症の影響があり,昨年度に引き続き現地調査は実施できなかったため,インドネシア,インド,モロッコにおいては,既存データ(地理情報,社会経済情報等)をインターネットから収集し,また,現地での研究協力を既知の大学行政関係者にもデータ収集を依頼して,これらを用いてGISデータベースを構築するなどして基盤データ作成を完了した。 愛媛県西条市千町地区における地域活性化を目指し,水田の冬期湛水の波及効果の調査,および地域資源としての竹材で建設した農業用ハウス(BGH)にて天敵防除の研究を実施するなど,具体的な活動を引き続き実施し,徐々に成果を挙げている。冬期湛水の一部については,本年度から水稲栽培を実施し,冬期湛水後の水田での発育観察を実施,かつ,残った冬期湛水水田では生物多様性の調査,これを通じた地域内外の人的ネットワークの拡充を行った。地元高校や地域住民(都市部)を巻き込む形で研究を実施したことから,西条市千町地区での本プロジェクト活動が,地方紙にも掲載され注目を浴びることとなった。BGH建設後は,BGHを視察にくる他の自治体が現れるなど,周辺地域において様々な良い影響を与えることになっている。以上から,都市部と農村部の関係人口の増加に寄与できたと考えている。 滋賀県甲賀市における研究では,論文や書籍を出版するなど学術的な成果も挙げることが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内事例での研究は予定通りに進み着実に成果を挙げている。新型コロナの影響で海外での調査活動が制限されており,現地での一次情報が収集できていない状況にあるが,現地研究者と連携することで,必要な情報を可能な限り集めており,順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症の影響により,海外での現地調査が困難である状態が続く可能性もあり,国内調査地にやや重点を置きつつ,柔軟に研究を遂行するための体制を整えることとする。具体的には,本研究のキーワードでもある農業生産システムの社会実装を実現するために,国内では人的ネットワークを拡充していくこと,各種ステークホルダーとの連携を強化すること,政策提言のための資料収集を行うこと,地方行政の方との連携を特に強化すること,が挙げられる。海外の調査地においては,引き続き既存資料の収集を行うと共に,現地ステークホルダーと遠隔システムを利用して,情報交換を行い,海外調査がいつ始まっても効果的に実施できるような下地を作ることに尽力する。海外への門戸が開いたら,現地調査を実施し,可能な範囲で学術的な成果を挙げることに邁進する。
|