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2021 年度 実績報告書

脱農業化と森林転換がはじまった東南アジア大陸山地での生態資源保全シナリオの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20H04403
研究機関京都大学

研究代表者

竹田 晋也  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)

研究分担者 鈴木 玲治  京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (60378825)
中辻 享  甲南大学, 文学部, 教授 (60431649)
小坂 康之  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
山口 哲由  京都大学, 地域研究統合情報センター, その他 (50447934)
田中 貴  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20805436)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード脱農業化 / 森林転換 / 東南アジア / 山地民 / 焼畑土地利用 / ラオス / ミャンマー
研究実績の概要

脱農業化と森林転換の進展の実態をとらえ、さらに生態資源保全のシナリオを考える本調査計画を2020年4月から開始したが、コロナ感染症の拡大に直面し、研究代表者と分担者は主にzoomを利用して研究打ち合わせを進め、これまでに蓄積したデータの分析と論文執筆準備をすすめてきた。現地調査の目途が立たない中で、研究費繰越申請を行い渡航の機会を待っていたところ、2021年2月にミャンマーにおいて国軍が企図したクーデターが発生し、治安が悪化したため同国への渡航はさらに困難になり現在に至っている。
私たちの研究グループでは2001年からミャンマー・バゴー山地のS村で焼畑調査を継続してきた。英領期にカレン領域に指定されたS村では、カレンの人々が焼畑を営み、自給自足に近い生活を送ってきた。2011年にテインセイン政権が発足して以降、ミャンマーでは民主化と経済自由化の進展が期待されてきた。S村では依然として焼畑陸稲栽培が日々の生活を支える一方で、道路がよくなり、海外出稼ぎも始まった。ミャンマー周縁の森は、細い糸でしかし直接にグローバルネットワークにつながりだした。
これまで「焼畑」は、粗放な土地利用として改善・開発・転換の対象とされてきた。しかし新型コロナウイルス感染症を経験した世界で、森林と生物多様性の保全があらためて重要な課題として浮き上がってくると、焼畑システムと焼畑民の生活のありようは、「新生活様式」あるべきひとつの方向を示してくれると思う。ヒト・モノ・カネが行きかう濁流から抜け出すことのできないような相互依存に陥るのではなく、焼畑に軸足を置いて自給力を維持しつつ、グローバル/トランスナショナルな関係を主体的に結んでいける可能性があるのではないかと思い始めるようになった。その検討を現在すすめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本調査計画を2020年4月から開始したが、コロナ感染症の拡大に直面し、研究代表者と分担者は主にzoomを利用して研究打ち合わせを進め、これまでに蓄積したデータの分析と論文執筆準備をすすめてきた。現地調査の目途が立たない中で、研究費繰越申請を行い渡航の機会を待っていたところ、2021年2月にミャンマーにおいて国軍が企図したクーデターが発生し、治安が悪化したため同国への渡航はさらに困難になり現在に至っている。
一方で、ラオスでは十分な用意と安全確認をおこなえば、現地調査は可能となった。

今後の研究の推進方策

ミャンマーへの渡航は、いつ実現できるのか見通しは立っていない。そこで本国に帰国することが困難となったミャンマー人留学生を科研費研究員として雇用し、これまでに蓄積したデータ整理と解析をすすめることにした。同時に、電話やインターネットを通じて、調査地との連絡を継続し、研究を進めている。
一方で、ラオスでは、十分な用意と安全確認をおこなえば現地調査は可能となったので、夏以降の現地調査を目指して、準備をすすめているところである。その一環として、2023年3月にコペンハーゲン大学Ole Mertz教授らとの研究会で今後の東南アジア大陸山地での脱農業化と森林転換に関する情報交換をおこなった。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 手仕事につながる森2023

    • 著者名/発表者名
      竹田晋也
    • 雑誌名

      民族藝術学会誌 arts/

      巻: 39 ページ: 48-57

  • [雑誌論文] Stand Structure and Species Composition of Community Forests under Livelihood Transition in Two Villages in the Inle Lake Region, Myanmar2023

    • 著者名/発表者名
      Thel Phyu Phyu Soe, Shinya Takeda
    • 雑誌名

      Indian Journal of Ecology

      巻: 50(1) ページ: 11-18

    • DOI

      10.55362/IJE/2023/3846

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Local involvement and seasonal migration of catechu producers in the Magway Region, Myanmar2022

    • 著者名/発表者名
      Maung Wai Phyoe、Takeda Shinya
    • 雑誌名

      Trees, Forests and People

      巻: 10 ページ: 100357~100357

    • DOI

      10.1016/j.tfp.2022.100357

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Change in Anthropogenic Disturbances and Its Influence on Wild Tea Survival in Shiiba, Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Isoda Maki、Kondo Tomohiro、Suzuki Reiji、Takeda Shinya
    • 雑誌名

      Economic Botany

      巻: 76 ページ: 339~353

    • DOI

      10.1007/s12231-022-09556-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sustainability of Acacia catechu Forest Management for Cutch Production in Magway Region, Myanmar2022

    • 著者名/発表者名
      Wai Phyoe Maung, Takeda Shinya
    • 雑誌名

      Southeast Asian Studies

      巻: 11(2) ページ: 273-297

    • DOI

      10.20495/seas.11.2_273

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 焼畑復活と地域社会─地域資源に着目した地域振興の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木玲治,大石高典
    • 雑誌名

      農業と経済

      巻: 86(6) ページ: 41-51

  • [雑誌論文] 籠で水を汲む2022

    • 著者名/発表者名
      竹田 晋也
    • 雑誌名

      月刊みんぱく

      巻: 7月号 ページ: 16-17

  • [雑誌論文] 日本とラオスの比較から里山資源利用の課題と可能性を考える2021

    • 著者名/発表者名
      小坂康之
    • 雑誌名

      地理

      巻: 66 ページ: 56-63

  • [雑誌論文] バスケタリーをはぐくむ村落景観2021

    • 著者名/発表者名
      小坂康之
    • 雑誌名

      月刊みんぱく

      巻: 7月号 ページ: 16-17

  • [学会発表] 山地農業における気温と作物栽培の関係 -標高帯モデルを考慮した基礎的分析-2023

    • 著者名/発表者名
      山口 哲由, 竹田 晋也
    • 学会等名
      2023年度日本地理学会春季学術大会
  • [学会発表] 手仕事とつながる森2022

    • 著者名/発表者名
      竹田 晋也
    • 学会等名
      民族藝術学会第38回大会シンポジウム「手仕事」とarts/ :人類の創造的ないとなみを探る
    • 招待講演
  • [学会発表] ラオスにおける水田植物のドメスティケーションの可能性2021

    • 著者名/発表者名
      小坂康之、古橋牧子、Khamsing Keothoumma、Lamphoune Xayvongsa
    • 学会等名
      日本熱帯生態学会
  • [図書] 「ラオスにおける野菜の採集から栽培への転換」伊谷樹一(編)『生態人類学は挑む4 つかう、つくる』2023

    • 著者名/発表者名
      小坂康之
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      京都大学学術出版会
    • ISBN
      9784814004416
  • [図書] 『 -火入れからはじめる地域づくり』2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木玲治・大石高典・増田和也・辻本侑生編
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      実生社
    • ISBN
      978-4-910686-03-5
  • [図書] ラオス農村におけるブタの生産・流通・消費の変化.今井博之編『生物由来の油に関する文理融合型研究の推進』2021

    • 著者名/発表者名
      中辻享
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      甲南大学総合研究所

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公開日: 2023-12-25  

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