• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

脱農業化と森林転換がはじまった東南アジア大陸山地での生態資源保全シナリオの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20H04403
研究機関京都大学

研究代表者

竹田 晋也  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)

研究分担者 鈴木 玲治  京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (60378825)
山口 哲由  北星学園大学, 経済学部, 准教授 (50447934)
小坂 康之  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
中辻 享  甲南大学, 文学部, 教授 (60431649)
田中 貴  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20805436)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード脱農業化 / 森林転換 / 東南アジア / 山地民 / 焼畑土地利用 / ラオス / ミャンマー
研究実績の概要

脱農業化と森林転換の進展の実態をとらえ、さらに生態資源保全のシナリオを考える本調査計画を2020年4月から開始したが、コロナ感染症の拡大に直面して研究代表者と分担者はこれまでに蓄積したデータの分析と論文執筆準備をすすめてきた。2023年5月の5類感染症移行によりようやく現地調査を本格的に再開することができ、まず8月にラオス北部B村で現地調査を実施した。以前の自給陸稲焼畑とトウモロコシ商品作から、牛飼育へと農業の重点が大きく変わっている点に着目し、ラオス北部での先行研究との比較検討を通じて、調査対象村における焼畑休閑地放牧の特徴を検討した。
一方、ミャンマーでは2021年2月クーデターの後の治安悪化は改善せず、バゴー山地S村での調査は再開できないまま現在に至っている。S村の混交落葉林の下層で育つインドジャボクとムカゴコンニャクは、雨季の初めにその根と球茎から地上部を発達させ、乾燥して野火も侵入する乾季までに落葉・倒伏し休眠する。こうした生育特性を持つことで、焼畑の伐開・火入れとも共存できている。このような焼畑と共存できる機能形質が、焼畑衰退の過程でどのように活かされるのかに着目して、渡航が制限された時期に国内で調査をすすめた(M. Isodaら2022)。また野火との関連で焼畑放棄地の有用樹管理を検討した(Wai Phyoe Maungら 2022)。
これまで「焼畑」は、粗放な土地利用として改善・開発・転換の対象とされてきた。しかし新型コロナウイルス感染症を経験した世界で、森林と生物多様性の保全があらためて重要な課題として浮き上がってくると、焼畑システムと焼畑民の生活のありようは、「新生活様式」あるべきひとつの方向を示してくれると思う。焼畑に軸足を置いて自給力を維持しつつ、グローバル/トランスナショナルな関係を主体的に結んでいける可能性の検討を現在すすめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本調査計画を2020年4月から開始したが、コロナ感染症の拡大に直面し、研究代表者と分担者は主にzoomを利用して研究打ち合わせを進め、これまでに蓄積したデータの分析と論文執筆準備をすすめてきた。現地調査の目途が立たない中で、研究費繰越申請を行い渡航の機会を待っていたところ、2021年2月にミャンマーに
おいて国軍が企図したクーデターが発生し、治安が悪化したため同国への渡航はさらに困難になり現在に至っている。一方で、ラオスでの現地調査は再開することができた。

今後の研究の推進方策

ミャンマーへの渡航は、いつ実現できるのか見通しは立っていない。そこで本国に帰国することが困難となったミャンマー人留学生を科研費研究員として雇用し、これまでに蓄積したデータ整理と解析をすすめることにした。同時に、電話やインターネットを通じて、調査地との連絡を継続し、研究を進めている。
一方で、ラオスでの現地調査は可能となったので、夏以降の現地調査を目指して、準備をすすめているところである。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 手仕事につながる森2023

    • 著者名/発表者名
      竹田晋也
    • 雑誌名

      民族藝術学会誌 arts/

      巻: 39 ページ: 48-57

  • [雑誌論文] Stand Structure and Species Composition of Community Forests under Livelihood Transition in Two Villages in the Inle Lake Region, Myanmar2023

    • 著者名/発表者名
      Thel Phyu Phyu Soe, Shinya Takeda
    • 雑誌名

      Indian Journal of Ecology

      巻: 50(1) ページ: 11-18

    • DOI

      10.55362/IJE/2023/3846

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 放牧と焼畑 ―ラオス山村でのウシ・スイギュウ飼養をめぐる土地利用―2023

    • 著者名/発表者名
      中辻 享
    • 雑誌名

      甲南大學紀要.文学編 = The Journal of Konan University. Faculty of Letters

      巻: 173 ページ: 171~188

    • DOI

      10.14990/00004453

  • [雑誌論文] Local involvement and seasonal migration of catechu producers in the Magway Region, Myanmar2022

    • 著者名/発表者名
      Maung Wai Phyoe、Takeda Shinya
    • 雑誌名

      Trees, Forests and People

      巻: 10 ページ: 100357~100357

    • DOI

      10.1016/j.tfp.2022.100357

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Change in Anthropogenic Disturbances and Its Influence on Wild Tea Survival in Shiiba, Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Isoda Maki、Kondo Tomohiro、Suzuki Reiji、Takeda Shinya
    • 雑誌名

      Economic Botany

      巻: 76 ページ: 339~353

    • DOI

      10.1007/s12231-022-09556-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sustainability of Acacia catechu Forest Management for Cutch Production in Magway Region, Myanmar2022

    • 著者名/発表者名
      Wai Phyoe Maung, Takeda Shinya
    • 雑誌名

      Southeast Asian Studies

      巻: 11(2) ページ: 273-297

    • DOI

      10.20495/seas.11.2_273

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 焼畑復活と地域社会─地域資源に着目した地域振興の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木玲治,大石高典
    • 雑誌名

      農業と経済

      巻: 86(6) ページ: 41-51

  • [学会発表] 山地農業における気温と作物栽培の関係 -標高帯モデルを考慮した基礎的分析-2023

    • 著者名/発表者名
      山口 哲由, 竹田 晋也
    • 学会等名
      2023年度日本地理学会春季学術大会
  • [学会発表] Correlation between shifting cultivation and forest cover over 70 years in a hilly area in Laos2023

    • 著者名/発表者名
      Susumu Nakatsuji
    • 学会等名
      Southeast Asian Geographical Association 2023 Conference
  • [学会発表] 手仕事とつながる森2022

    • 著者名/発表者名
      竹田 晋也
    • 学会等名
      民族藝術学会第38回大会シンポジウム「手仕事」とarts/ :人類の創造的ないとなみを探る
    • 招待講演
  • [図書] 焼畑が地域を豊かにする -火入れからはじめる地域づくり2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木玲治・大石高典・増田和也・辻本侑生編
    • 総ページ数
      212
    • 出版者
      実生社
    • ISBN
      9784910686035

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi