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2021 年度 実績報告書

結婚の歴史再考――フランスの事例から見る(ポスト)結婚、生殖、親子、家族

研究課題

研究課題/領域番号 20H04419
研究機関東京大学

研究代表者

増田 一夫  東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (70209435)

研究分担者 園部 裕子  香川大学, 経済学部, 教授 (20452667)
長谷川 まゆ帆  東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任研究員 (60192697)
原 和之  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00293118)
森山 工  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70264926)
尾玉 剛士  獨協大学, 外国語学部, 准教授 (60751873)
小門 穂  神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (20706650)
佐藤 朋子  金沢大学, 外国語教育系, 准教授 (70613876)
伊達 聖伸  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90550004)
藤岡 俊博  東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90704867)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードフランス / カップル / 家族形成 / 生命倫理 / 両性の平等
研究実績の概要

第2年度である2021年度は、初年度の成果を踏まえたうえで、主に以下の4本の軸を中心に考察しつつ研究を進めた。
(1)生命倫理法関連の最新の動向を探って新たに提起された問題を確認し、同性婚と生命倫理をめぐる政治家や政党の姿勢を確認する。(2)精神分析や哲学の視点から、家族観、父親像がそれぞれのディシプリンにおいていかに変化したか、子どもの性アイデンティティをめぐってどのような考察が展開されたかを考察し、(3)歴史的な視点からフランスにおける女性と子ども、両性の平等、結婚をめぐるカトリックとライシテといったテーマをたどった。(4)文化人類学が語る結婚と家族の多様性のなかに現代フランスの結婚と家族を位置づけ、主に西アフリカ系移民の視点からホスト社会の結婚と家族を考えた。そのうえで、それぞれの軸を総括するかたちで、カップル、結婚、家族形成の諸相を総合的にとらえ、そこに浮かび上がるフランス的特性を分析した。
これらの作業の成果については、メンバーの進捗状況を報告する形で、オンライン方式による研究集会にて発表した。また、海外の研究者を囲む研究集会を通じて新たな知見をチーム全体で共有するように努めた。
他方で、それぞれのメンバーは国内外の、主にオンライン方式による研究集会において意見交換や発信をおこなった。
まだコロナ禍のため渡航しての研究集会参加および意見交換は容易ではなかったが、状況改善を視野に入れて、研究者の招聘、派遣も準備している。コロナ禍の影響で、一部課題を2022年度へと繰越した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初はコロナ禍の状況改善を期待し、より積極的な派遣や招聘を考えていた。思惑が外れ、その面での計画実現が不可能になった点は否定できない。しかし、派遣や招聘という形はとれなかったものの、フランスと結ぶ遠隔方式の研究会を組織し、質の高い意見交換を実現して、研究を進めるために十分な情報を得ることができた。
全体として知見の共有をはかりながら、それぞれの担当分野で研究を進めている。進展ゆえの新たな発見をしながら、研究を続行している。研究はおおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

本研究の全体的な輪郭がよりはっきりとし、全体との関係でそれぞれのメンバーが追及すべきテーマがより明らかになってきた。基本は、これまでの研究会における報告と討論が中心となる。それに加えて、内外の研究者を招き、課題に対するより完全な視点を確保する。
また、研究が進むにつれて、わが国の状況をより正確に把握する必要が感じられるようになった。日仏では、家族と社会のあり方、同性婚をめぐる議論のあり方、親権のとらえ方などに少なからぬ相違があるからである。それをふまえて、より深い比較対照を試みてゆく。
コロナ禍の様子を見ながら、研究者の派遣および招聘を実現し、資料調査、意見交換などのさらなる充実をはかることにする。それらを通じて研究のさらなる進展が期待できる。

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 5件、 査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 人新世における可塑性2022

    • 著者名/発表者名
      増田一夫
    • 雑誌名

      Limitrophe(リミトロフ)

      巻: 1 ページ: 51-55

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 聖職者の性的スキャンダルを通して見るフランス・カトリック教会の現状――制度的権威の失墜とカリスマ的権威の失墜2022

    • 著者名/発表者名
      伊達聖伸
    • 雑誌名

      上智ヨーロッパ研究

      巻: 13 ページ: 113-132

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「想定」としての「構築」――「「分析」とは何の謂いか」への補遺2022

    • 著者名/発表者名
      原和之
    • 雑誌名

      東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻紀要『Odysseus』

      巻: 26 ページ: 115-142

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 〈贈与〉と〈譲りえぬもの〉の政治学2022

    • 著者名/発表者名
      森山工
    • 雑誌名

      UP

      巻: 591 ページ: 7-12

  • [雑誌論文] フランスにおける同性婚をめぐる政党・政治家の動向2022

    • 著者名/発表者名
      尾玉剛士
    • 雑誌名

      獨協大学・フランス文化研究

      巻: 53 ページ: 49-69

  • [雑誌論文] Sub-Saharan African Women Confronting French Biopolitics2022

    • 著者名/発表者名
      SONOBE Yuko
    • 雑誌名

      Kagawa University Economic Review

      巻: 94(4) ページ: 121竏?129

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] フランス生命倫理法改正と「母親」の変容2021

    • 著者名/発表者名
      小門穂
    • 雑誌名

      年報医学法学

      巻: 36 ページ: 10-15

  • [雑誌論文] 痛みのフロイト的表象2021

    • 著者名/発表者名
      佐藤朋子
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1167 ページ: 7-12

  • [雑誌論文] フランスにおけるケア労働の専門化と旧植民地アフリカ出身移住女性――移住による「下方移動」と職業経験認定制度(VAE)による資格取得2021

    • 著者名/発表者名
      園部裕子
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 757(11) ページ: 71-95

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] I. Thery, A.M. Leroyer, Filiation, origine parentaliteから見た同性婚2021

    • 著者名/発表者名
      増田一夫
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] カタストロフの時代と『ヴェールを被ったアンティゴネー』2021

    • 著者名/発表者名
      伊達聖伸
    • 学会等名
      静岡大学翻訳文化研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] カトリック教会の性的スキャンダルと聖職者の独身制2021

    • 著者名/発表者名
      伊達聖伸
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] 現代フランス社会とカトリック聖職者による性暴力の問題2021

    • 著者名/発表者名
      伊達聖伸
    • 学会等名
      日本宗教学会第80回
  • [学会発表] フランス歴史学における結婚と「同性愛」――教会による<性的不能者裁判>研究などを手がかりに2021

    • 著者名/発表者名
      長谷川まゆ帆
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] 精神分析の心変わり―フランスにおける精神分析と同性婚2021

    • 著者名/発表者名
      原和之
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] 文化人類学から見た恋愛・結婚・親子関係-「恋愛を考える」を考える2021

    • 著者名/発表者名
      森山工
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] 代理懐胎をめぐるS・アガザンスキによる議論とその検討2021

    • 著者名/発表者名
      藤岡俊博
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] フランス同性婚をめぐる政党・政治家の動き2021

    • 著者名/発表者名
      尾玉剛士
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] フランスの生殖医療の最近の動向について2021

    • 著者名/発表者名
      小門穂
    • 学会等名
      科研基盤B「結婚の歴史再考」研究会
  • [学会発表] トランスジェンダーに関わる制度─フランスの最近の動向から2021

    • 著者名/発表者名
      小門穂
    • 学会等名
      京都生命倫理研究会
  • [学会発表] 生殖技術のルールを考える2021

    • 著者名/発表者名
      小門穂
    • 学会等名
      2021年応用哲学会サマースクール
    • 招待講演
  • [学会発表] 精神分析経験と語りの条件――セルジュ・ヴィデルマン『分析空間の構築』(1970年)以後のフロイト派の言説2021

    • 著者名/発表者名
      佐藤朋子
    • 学会等名
      日仏哲学会
  • [学会発表] マリの女性によるシアバター生産組合2021

    • 著者名/発表者名
      園部裕子
    • 学会等名
      日本アフリカ学会
  • [図書] EAA Booklet 28 EAA Forum 19 フランスから見た#MeToo運動――ラファエル・リオジエ『男性性の探究』をめぐって2022

    • 著者名/発表者名
      Raphael Liogier、大嶋えり子、隠岐さや香、増田一夫、増田一夫編
    • 総ページ数
      52
    • 出版者
      東京大学 東アジア藝文書院
  • [図書] いまを生きるための宗教学2022

    • 著者名/発表者名
      島薗 進、奥山 倫明
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4-621-30687-1
  • [図書] Western Historiography in Asia: Circulation, Critique and Comparison2022

    • 著者名/発表者名
      Q. Edward Wang, Okamoto Michihiro, Li Longguo, Hasegawa Mayuho, et al.
    • 総ページ数
      657
    • 出版者
      De Gruyter Oldenbourg
    • ISBN
      978-3110717341
  • [図書] 文学とアダプテーションII2021

    • 著者名/発表者名
      小川公代、吉村和明
    • 総ページ数
      500
    • 出版者
      春風社
    • ISBN
      978-4861107559
  • [図書] 贈与と聖物-マルセル・モース「贈与論」とマダガスカルの社会的実践2021

    • 著者名/発表者名
      森山工
    • 総ページ数
      360
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      978-4130503037

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公開日: 2023-12-25  

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