研究課題/領域番号 |
20H04427
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
石丸 香苗 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (00572471)
|
研究分担者 |
光安 光江 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 教授 (30619317)
舛方 周一郎 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (40734538)
吉川 沙耶花 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60785492)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | アマゾン / 森林減少 / 環境政策 / 小農 / アグリビジネス / 衛星画像解析 |
研究実績の概要 |
衛星画像解析については、大規模開発(森林→農牧地など50haより大きい連続する面積)と小規模開発(森林→農牧地など50ha以下の連続する面積)3つの期間に区分された環境政治動向(①森林減少に成功した労働者党政権前期;②森林破壊防止の制度が弱体化した労働者党政権後期からテメル政権への移行期;そして③森林破壊が再び増加したボルソナーロ政権期)を踏まえて、大規模開発及び小規模開発それぞれでの土地利用変化への影響の違いを明らかにした。環境政策については、近年の政権交代にしたがい環境政策にどのような変化が見られたのかを整理した。ボルソナロ政権の政策はアマゾンの森林伐採を推進していることは明らかとなったが、アマゾンで森林伐採が進んでいる根本的な原因ではなく、欧米中心の価値観をもとにボルソナロ大統領のみに責任の所在を擦り付けている可能性がある。ただしボルソナロ大統領の言動が既存の複合的な問題を加速し、各分野における抑止解除に効果を与えた可能性も指摘できる。今後は多国籍企業を中心としたバリューチェーンや州政府と企業団体との関係性を特定することが課題となる。小農支援政策は、実際に施策を担当する州や自治体に対する政権交代の影響は大きくなく、ボルソナロ政権時も名称の変更等はあったものの変わらず行われていた。小農からは、連邦政府よりは州、州よりは郡役所のように、実際に訪問を定期的に行って支援をしてくれるより身近なレベルの支援に安心を得ていた。アグリビジネスに関しては、第一期の政府の政策や法的枠組み、民間団体や企業の取り組みは森林破壊を抑制することに成功したものの、第二期の政府の政策が有効ではなかったこと、第三期において牧草地や大豆への土地の移行が広範囲で観察されたため、違法伐採地域への農業の拡大が広がっている可能性があることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年の夏ごろからコロナウイルスによる制限の緩和により渡航が可能になったが、グランドトゥルースデータを得るための対象地の選定が渡航できなかった分だけ遅れた。本課題研究のすべての分野で衛星データ解析の結果が必要になるため、全体的にずれ込んで遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスにより渡航調査ができなかった影響が全体的に大きく、最終年度に予定していた総合的な成果発表がまだできていない。現在、専門分野が違う参画者同士が、どの組み合わせでどの媒体で発表をするかについて話し合いをしており、数年以内には本課題の総合的な成果の発表が可能になる予定である。
|