研究課題/領域番号 |
20H04428
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
江口 伸吾 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (20326408)
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研究分担者 |
宇野 重規 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00292657)
李 暁東 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (10405475)
加茂 具樹 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (30365499)
堀口 正 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (00438318)
唐 燕霞 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (80326404)
佐藤 壮 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (60453198)
遠藤 誠治 成蹊大学, 法学部, 教授 (60203668)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 現代中国 / 権威主義体制 / ガバナンス |
研究実績の概要 |
令和2年度は、当該研究に関する文献資料を精読し、海外の研究者へのヒアリング、並びに国内における研究会を通して、研究状況の論点を整理することを研究目的とした。 第一に、文献資料の精読について、『郷鎮論壇』(民政部)等の学術雑誌、『網格化治理能力評估方法』(2020)、『中国治理評論2020年第1期』(2020)等の書籍資料、『人民日報』等の新聞資料を精読し、本研究の最新動向を整理した。 第二に、オンライン方式により、研究会、海外の研究者へのヒアリングを実施した。まず、研究会では、第1回(2020年6月10日)、第2回(2020年11月29日)、第3回(2021年2月9日)、第4回(2021年3月8日)の計4回にわたり開催した。とくに、①政治思想史: 「権威主義と『新権威主義』」(李暁東)、②国家・社会ガバナンス: 「現代中国の社会ガバナンスと政治統合」(江口伸吾)、③経済・企業ガバナンス: 「中国国有企業のコーポレート・ガバナンス研究」(唐燕霞)、④国際関係: 「『シャープ・パワー』言説の対中認識」(佐藤壮)といった各アプローチからの報告を行い、本研究の論点を整理した。なお、第2回研究会は、島根県立大学北東アジア地域研究センターとの共催である。次に、海外の研究者へのヒアリングでは、第3回研究会において、帰泳濤氏(北京大学国際関係学院教授)を招き、「日米中関係に求められる複合的バランス」が報告された。これらの活動は、新型コロナウィルスで移動、対面式の研究会が不可能となり、オンライン方式で代替した。 第三に、以上の研究活動を踏まえ、江口伸吾「中国農村における協商民主と農村ガバナンス」(口頭発表、アジア政経学会2020年度春季大会、2020年6月7日)、江口伸吾『現代中国の社会ガバナンス-政治統合の社会的基盤をめぐって』(単著、国際書院、2021年)等の研究成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年の研究活動では、当初の研究計画にある1) 当該研究の文献資料の精読、2) 研究会の開催を通して、研究状況の論点を整理した。とくに研究会では、島根県立大学北東アジア地域研究センターの協力を得ながら、①政治思想史、②国家・社会ガバナンス、③経済・企業ガバナンス、④国際関係の各アプローチから研究報告をオンライン方式で実施し、本研究のフレームワークを固めることができたため、「(2) おおむね順調に推移している」と言える。 他方、当初の研究計画にある3) 海外のヒアリング調査は、新型コロナウィルスで渡航が困難となり実施できなかったため、オンライン方式の研究会で、帰泳濤氏(北京大学国際関係学院教授)を招き、「日米中関係に求められる複合的バランス」と題する報告をいただき、それに代替した。この点に関して、当初の予定より「(3) やや遅れている」と言える。 以上の研究活動を踏まえて、令和2年度は、いくつかの研究成果を公表した。とくに、口頭発表/江口伸吾「中国農村における協商民主と農村ガバナンス」(アジア政経学会2020年度春季大会、2020年6月7日)を通して、農村地域における協商民主の展開とガバナンスの再構築の過程を明らかにするとともに、そこでの論議を踏まえて、江口伸吾『現代中国の社会ガバナンス-政治統合の社会的基盤をめぐって』(単著、国際書院、2021年)を刊行し、本研究のアプローチの一つである社会ガバナンスという視点から現代中国の権威主義体制に関する考察をまとめ、一定の成果を公表することができた。したがって、令和2年度の研究成果に関して、「(1) 当初の計画以上に進展している」と言える。 以上の研究の進捗状況を総じてみると、「(2) おおむね順調に推移している」という状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、令和2年度に引き続き、当該研究に関する文献資料を精読し、国内における研究会、海外での研究者へのヒアリング、ワークショップなどの研究活動を通して、分析方法・事例の検討を進めることを目的とする。 その際、以下の点に留意して、研究を進める。①『郷鎮論壇』(民政部)、『中国国際戦略評論』(北京大学国際戦略研究院)、The China Quarterly、International Affairs等の学術雑誌、新たに刊行される文献資料の精読を通して、先行研究を整理し、論点を確認する。② 『人民日報』『環球時報』等の新聞資料に基づき、中国の政治、社会、経済、外交、国際関係の諸動向を逐次把握する。③ 国内外の研究所、図書館等で、中国の権威主義体制とガバナンスの動向に関する資料を閲覧、収集し、論点を整理する。④ 国内の研究協力機関(島根県立大学北東アジア地域研究センター、成蹊大学アジア太平洋研究センター、愛知大学国際中国学研究センター、慶應義塾大学東アジア研究所現代中国研究センター)の協力を得ながら研究会を開催し、1) 政治思想史、2) 国家・社会ガバナンス、3) 経済・企業ガバナンス、4) 国際関係の各アプローチから中国の権威主義体制とガバナンスの動向に関する分析を進める。⑤ 中国の雲南大学国際関係研究院において、2014年に提唱された「一帯一路」における権威主義的ガバナンスの対外的な影響に関するヒアリング、ワークショップを開催し、中国国内の研究動向を把握する。⑥ 令和3年度においても、新型コロナウィルスの影響が残ると懸念されるため、上記④ ⑤の研究会、ヒアリング、ワークショップの対面開催が困難な場合、可能な限りオンライン方式で代替する。⑦ 以上の研究活動を踏まえて、令和3年度の研究成果を公表する。
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